なぜ通貨安競争は悲劇を生むのか

震災後に日本株を買っていましたが、2012年11月に安倍現首相が無制限に金融緩和を打ち出してから、さらに買い増しました。そして今年5月前半にその多くを売りました。その後、日経平均は5月23日、00年のITバブル崩壊時以来の下落率を記録。今回はバブルというほどではなく、金融緩和で市場にあふれたお金に投資家が食いつき、株価が急激に上がっただけなのです。そもそも長く続かないと見越して短期で売った。6月に入り、株価も為替も乱高下しています。農業関連株などは残していますが、大きく下がったら多少買い戻しも考えます。

日本ではいわゆるアベノミクスにより急激な円安・株高が続いていました。多くの人がこの政策をもてはやしていますが、はっきりいって災厄以外の何ものでもありません。傍目にはとても感じがよさそうに見えるこの政策によって、安倍首相率いる自民党のお仲間とごく一部の人々、たとえばトヨタ自動車などに関わる日本人の懐だけは一時的に潤うでしょう。名古屋の人にとってはいいかもしれません。でも1億2000万もいる日本人の多くの生活水準は下がっていく。何兆円ものお金を人工的に市場に送り込めば、人々は一時的に心地よく感じるものです。しかし最後には必ず苦しくなっていく。

日本は資源から食品まで、多くのものを輸入に頼っています。円が安くなれば生活必需品の値段が上がる。なぜ2%のインフレを目指すのですか?

ただし、別にデフレがいいわけではありません。インフレでもデフレでもなく、自国通貨を安定させ、健全な状態で現実的な成長を目指すべきなのです。

今、日本が抱える急激な少子化や巨額の債務、移民の拒否など根本的な問題は何1つ解決していません。もし私が日本の首相であれば、お金を刷るのをやめて債務を減らす努力をし、人口減を解決すべく、移民を増やすなどの政策をとる。日本人は外国人が好きではないことは知っていますが、それでも最大限努力をするでしょう。TPP(環太平洋経済連携協定)は実行しますよ。TPPは現在の日本政府の政策の中で私が唯一、支持できるものです。これはインフレ抑制にも役立ちます。