「月々たった○万円で憧れのマイホームを」――そんな広告を見たことはないだろうか。住まいるサポートの高橋彰社長は「いわゆる“残クレ住宅ローン”という新たな仕組みだ。将来残る住宅価値分を差し引くことで、月々の返済額を大きく下げることができる。一見、魔法のような制度だが、リスクを知らずに買うと思わぬ落とし穴にはまりかねない」という――。

高給取りでも「家が買えない」

「世帯年収1200万円あっても、都内で家が買えない」。

いま、住宅購入相談の現場で最もよく聞く言葉です。

共働きで、夫婦ともに大手企業勤務。ボーナスも安定している、周囲から見れば「勝ち組」に見える30代のパワーカップルでさえ、住宅ローンの壁にぶつかり、希望していた9000万円〜1億円の住宅をあきらめるケースが続出しています。

問題は「月々の返済額」ではありません。

銀行が貸してくれる上限額そのものが、首都圏の住宅価格に追いついていないのです。

東京都中央区の高層マンショングループ
写真=iStock.com/CHUNYIP WONG
※写真はイメージです

首都圏で起きている“静かな断絶”

たとえば、共働きで2人ともフルタイム勤務のご夫婦が、

「保育園まで徒歩10分以内」
「通勤1時間圏内」
「将来2人目も想定して3LDK」

という条件で探すと、都内や横浜・川崎では9000万円前後の物件が当たり前に並びます。

ところが、住宅ローンの事前審査を受けると「ご融資の上限は7500万円です」と告げられたりします。

この“1500万円のギャップ”の前で、多くのパワーカップルが足を止めています。

世帯年収1200万円、返済負担率30%で計算すると、住宅ローンに回せるのは年間360万円、月30万円が上限になります。

金利1%台・35年返済で単純計算すれば、理屈上は1億円前後の借入も可能に見えます。

でも、実際の銀行審査では、金利上昇リスクや生活費の余裕を見込んで、そこから2〜3割ほど厳しく評価されるのが一般的です。

その結果、この条件の世帯が現実に借りられる上限は7000万〜8000万円程度となり、希望する1億円前後の物件の前で、「足止め状態」となってしまう。

つまり住宅の市場価格が、銀行の与信枠を超えてしまっているのです。

この「価格と信用のズレ」こそが、今の急速に着工戸数が減少している住宅マーケットの冷え込みの正体といえます。