対策をしなければローンは全然減らない

もし今後、2027年までに政策金利が半年ごとに0.25%ずつ、「あと3回(計0.75%)」上昇したと仮定し、さらにAさんの住宅ローンの金利変化を次のようシミュレーションしてみました(図表5、6)。

【図表5】Aさんの住宅ローンの金利推移と返済額の内訳の変化
筆者作成
【図表6】金利が上がらなかった場合と2027年までの金利上昇を考えた場合との比較
筆者作成

(注記)金利の変動時期や決定金利、各金融機関の優遇幅(引き下げ幅)は、契約内容により異なります。本試算では、今後の政策金利の上昇幅がそのまま住宅ローン金利へ反映されるものと仮定しています。

追加利上げが現実となれば、対策をしない場合、毎月の返済額は13万円を超えていきます。さらにAさんが60歳を迎える2034年には、そこから金利が上がらなくても13万2773円まで負担が増加します。

また、先ほどと同様に200万円を繰り上げ返済したとしても返済額は1万8000円以上も増えることになり、今のままの返済額をキープするために必要な繰り上げ返済額は600万円にも及ぶこともわかりました。

さらに注目すべきは「60歳時点のローン残高」です。度重なる利上げによって、毎月の支払いの大半が利息に消えてしまった結果、何の対策も取らなければ60歳時点で約2350万円ものローンが残ってしまいます。これは金利が上がらなかった当初予定の約2150万円に比べて、約200万円も残高が増えている(先送りされた)計算になります。

Aさんはシミュレーション結果を見て、

「600万円はかなり厳しいな……」
「60歳でこんなに残るのか……」
「退職金ではとても返しきれないな……」

と、老後のローン残高の重さを実感したといいます。

また、長男が就職して独立したり、結婚して家を出るタイミングで、「この家を売却して身軽になるのも選択肢かもしれない」と考えるようにもなりました。