パトリオットPAC-3用迎撃ミサイル、HIMARS(高機動ロケット砲システム)、対ドローンシステムなど米国製兵器は、台湾防衛に不可欠だ。バージニア州ジョージ・メイソン大学の研究プロジェクト「台湾セキュリティ・モニター」によれば、4月時点で未納分は総額約300億ドルに達している。

ホワイトハウスと台湾総統府は、それぞれ書面によるコメント要請に対し、現時点で回答していない。

専門家らによると、トランプが台湾向け武器売却を中国との交渉材料とする姿勢は、「六つの保証(Six Assurances)」に反する可能性があるという。これは1982年、米中共同コミュニケ発表後に台湾へ示された一連の保証を指すもので、その中には台湾への武器売却について中国と協議しないとの約束も含まれていた。

習近平への譲歩には国内に強い反発

これらの保証には法的拘束力はないが、それ以降、台湾海峡問題を巡る米国政策の柱となってきた。

米保守系シンクタンクのフーバー研究所台湾プログラム責任者のカリス・テンプルマンは本誌に対し、「トランプ政権は武器供与パッケージを早期承認するよう国内から強い圧力を受けることになる。承認しなければ、習への一方的譲歩と受け止められかねず、承認しない政治的コストはさらに高まった」と語った。

テンプルマンによれば、トランプが抱える難題は、過去の米政権にも原因があるという。これまで米政権は、中国を刺激しないよう、武器売却発表のタイミングを調整してきた。「その結果、中国は、米国が重視する別の案件を停滞させると示唆することで、武器売却を遅らせたり抑止したりしようとしてきた」

英紙フィナンシャル・タイムズは今週、トランプが台湾向け武器売却について判断を下すまで、中国は国防総省政策担当トップのエルブリッジ・コルビー氏の訪中を認めていないと報じた。

また、トランプが頼と直接対話する意向を示していることも注目される。実現すれば、1979年に米台が断交して以来初めてとなる可能性がある。この動きは、トランプが習との間で築こうとしている長期的な緊張緩和を頓挫させる恐れがあり、今秋予定されている習の米国公式訪問が中止される可能性も極めて高い。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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