「お金を払えば守ってもらえる時代」は終わった
冷酷さが最もはっきり表れるのは、武器供給である。2026年2月6日に米ホワイトハウスが発表した大統領令「America First Arms Transfer Strategy」は、米国製兵器の移転を米国内生産力の強化と外交の手段にし、自国防衛に投資し、米国の作戦計画上重要な役割や地理を持つ相手を優先すると定めた。
同日に配信されたロイター記事も、防衛支出の高い国や地域戦略上重要な国を、米国製兵器の顧客として優先する方針だと報じた。これは「高価な装備を買えば安心」ではない。受け取った装備をすぐ使う部隊、弾薬庫、整備員、部品、訓練、サイバー防衛、滑走路復旧まで整えられる国が前に出る。
対外有償軍事援助(FMS)は、注文しても納入に時間がかかる。日本が支払い済みであっても、戦力化が遅ければ優先順位は下がりうる。逆に、共同生産、国内整備、弾薬備蓄、部品供給、秘密保全を整えた国は、米国にとって「今すぐ役に立つ同盟国」になる。
日本が問われているのは、兵器を買う財布の大きさだけではない。受け取った兵器を、実際の戦場で何日、何週間、使い続けられるかである。
すでに欧州での米軍撤退が進んでいる
こうしたトランプ氏の取引的な同盟観は、すでに欧州でも展開されている。
2026年4月9日に配信されたロイター記事は、トランプ氏が欧州の一部米軍撤収を側近と協議したと報じた。
さらに2026年5月1日に配信されたロイター記事は、米国がドイツから5000人を撤収すると国防総省が発表したと伝えた。日本に同じことが起きると断定はできない。だが、部隊配置が同盟政治のカードになりうることは明らかである。
武器も同じである。2026年4月16日に配信されたロイター記事は、イラン戦争で米軍の兵器・弾薬在庫が圧迫され、欧州向けFMSの納入が遅れる見通しを米側が伝えたと報じた。
では、米国は日本に何を求めているのか。第一は防衛費である。ただし数字は慎重に扱う必要がある。
2025年6月21日に配信されたロイター記事は、米側が日本にGDP比3.5%を求めたとの英フィナンシャル・タイムズ報道を伝えた一方で、日本側関係者が3.5%や5%目標の協議を否定したことも報じた。2025年10月29日に配信されたロイター記事でも、ヘグセス国防長官は日本の防衛費増額の早期実施を求めたが、具体的数値要求はしていないと述べた。

