学業成績を決める重要な要素

なお、こうした分析では同じ文部科学省の学校基本調査のデータを使って市区町村別の大学進学率を算出して使うこともあるが、学校基本調査は学校所在地を基準に集計されており、現住地基準での集計とはならないため市区町村別の比較指標としては適切ではない(都道府県の単位になると意味はある)。

一方、小学校、公立中学校については、学校所在地と現住地はほぼ一致していると考えられるため、今回は国立を含む私立中学等への進学率を用いることにした。

もう少し説明をしておくと、学業成績は、遺伝が55%、共有環境が17%、非共有環境が29%という割合で説明できることが分かっている。

詳しくは慶應義塾大学名誉教授の安藤寿康氏による『遺伝マインド』などの一連の著作・研究を参照してほしいが、共有環境とは家庭の子育て環境のことで、非共有環境とは家庭以外の子どもの置かれている環境、簡単にいえばどんな学校に行って、どんなお友達に囲まれているか、ということだ。

その意味で、周りに中学受験するお友達が多いほうが、勉強する環境としては良い影響があるだろう。

私立中進学率が高く中古マンションが手頃な場所

市区町村別に私立中学等への進学率を見ると、東京23区には、千代田区:75.5%、文京区:63.7%、港区:56.8%、品川区:55.9%、渋谷区:54.2%、目黒区:51.6%と非常に高い区が集中している。

神奈川県では、川崎市高津区:36.7%、横浜市西区:34.8%、横浜市中区:32.8%、鎌倉市:30.0%が30%を超えている。

埼玉県では、さいたま市浦和区:32.2%、さいたま市見沼区:22.7%が20%を超えており、同様に千葉県では、千葉市稲毛区:28.2%、市川市:22.1%、浦安市:21.2%となっている。

一都三県の市区町村について、私立中学等への進学率と中古マンション価格の平均を散布図にすると下記のようになる(図表1)。

【図表1】私立中学進学率と中古マンション平均価格
中古マンションの単位は(万円)(図表=筆者作成)

散布図は、平均価格の上限を6500万円、進学率の上限を45%として表示している。そのため、平均価格が1億を超え進学率も非常に高い、港区(2億1288万・57%)、千代田区(1億6861万・76%)、文京区(1億201万・64%)といったような地域は表示には含まれていない。

そして、同じ価格帯でも進学率が非常に高い地域がいくつかあることがわかる。

5000万円近辺では、国立市・川崎市高津区、4000万円近辺では、鎌倉市・横浜市緑区、3500万円近辺では川崎市麻生区・横浜市栄区、3000万円以下では千葉市稲毛区、さいたま市見沼区、岩槻区といった場所だ。

これは逆にいえば、同じ進学率でも中古マンションが比較的手頃な場所がある、ということでもある。

例えば、鎌倉市と千葉市稲毛区を比べると、それぞれ進学率は30.0%、28.2%とほぼ同じだが、中古マンション価格は鎌倉市の3745万円に対して千葉市稲毛区は1785万円と半額になる。