不動産会社ではなく市民が街をつくる

自由が丘は、1963年に設立された自由が丘商店街振興組合の活動なしには語れないのです。

この組合が、住民と一体となって街の個性を打ち出す「自由ヶ丘地区街並み形成指針」を定め、街のハード面からもできるだけ統一したデザインで街づくりが行われるようにコントロールしてきたのです。現在では1300軒に迫る国内最大級の商店街組織です。

余談ですが、自由が丘が「女性に人気の街」になったのは、カフェ「カスタネット」の存在抜きには語れません。この店に慶應の塾高生や大学生が集まるようになり、同心円状に雑貨店やセレクトショップ、カジュアルウェア、そしてスイーツの店などが続々と出店するようになったのです。はじめに人ありき、というのが自由が丘の特徴と言えます。

マンションの1F右側の店がカスタネット 現在も営業中
筆者撮影
マンションの1F右側の店がカスタネット。現在も営業中。

先述したように自由が丘の様相は変わりつつあります。それゆえの危機感を住民たちは感じていたのでしょう。駅前の再開発組合は、不動産ディベロッパーに依存せず、東京都が2003年に制定した「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」に基づく「街区再編まちづくり制度」を活用し、既成市街地の再生を目指したのです。

再開発ビルのテナントの意外な顔ぶれ

東京都が絡むことにより規制緩和が進めやすくなりました。公共空間を整備したり、歩道を広げたり、街区再編により美しい街並みを整備するなどして、結果的に容積率(建てられる床面積)を増やすことが可能となったのです。

同事業の目玉となる複合ビルの延床面積は約4万6000平米。高さ約60メートル、地上15階、地下3階建てという自由が丘の中では建物としても非常に大きなものになります。規制緩和メリットを受けて開発されていることがはっきりとわかる建物です。

このうち、地上5階までと地下1階には食・ライフスタイル・子育て関連のテナントが入居予定。オフィスフロアだけでなく、約170戸の住宅も入ります。

同ビルのキーテナントは、自由が丘初出店の高級スーパー「明治屋 自由が丘ストアー」とSHARE LOUNGEとスターバックスの複合店LOUNGE & CAFE「SHARE LOUNGE 自由が丘(仮称)」の2店舗です。他には1933年創業の地元、ケーキのモンブラン発祥の店として筆者もよく通っていた「自由が丘 モンブラン」、1934年創業の老舗そば店「そば処 自由が丘 薮伊豆」、1932年創業でこれもこの地にあった時計・宝飾専門店の「自由が丘 一誠堂」などが出店します。

まさに地元民に馴染みのある店が多数復活することになります。