年収1億円というのは、自分ひとりで到達できる世界ではない。
個人レベルで稼ぎ続けられるのは、私の実感では、せいぜい年収2000万円から3000万円ということには触れた。つまり、年収3000万を超えて、継続的に1億を稼ぐようになるには、いくつかの壁を越えなくてはならない。
その壁を越えるのは、「荷物」を背負う体験をすることでしかなし得ないというのもまた、私がこれまでに感じてきたことだ。
私の場合、その荷物のひとつは、社員の借金だった。
独立して立ち上げた会社の最初の年度を終え、ほっとしたのもつかの間、はじめて採用した社員が、6000万円の借金を抱えていることが発覚したのだ。
借金のことを知ったときはさすがに慌てた。
妻とふたりの幼い娘を抱え、これから生活費や教育費にもお金がかかる。
私は、H社長に相談することにした。H社長は山口県で美容室グループを経営する事業家だ。
だが、H社長の言葉は厳しかった。
「彼女を採用したのは誰だ? 経営者ならすべて自己責任だぞ。6000万円くらいで騒ぐな。俺がいくらの借金を抱えていると思っている? たかだか6000万円の借金から逃げようとする奴に、俺の資産管理は任せられない」
選択肢は2つあった。その社員を解雇するか、借金を肩代わりするか。
私は借金を肩代わりする覚悟を決めた。