とてつもない成功の前には、新たな可能性を切り開くための困難がある。

ところが、つねに目の前の困難から逃げる人というのがいる。

困難を克服することで、自分にとってのさらなる成長が手に入ることを知らない人たちだ。逃げてばかりいるから、いつまでも成功を手にできない。しかも、同じ困難が何度でも降ってくる。

一方で、1度でも困難を克服したことがある人は、困難を越えた先には、自分にとっての新たな可能性が待っていることを知っている。そして、その困難が大きければ大きいほど、手に入る成長も大きいことに気づいている。

私が、採用した社員の借金が発覚したとき、会社で借金を肩代わりする覚悟を決めたのは、

「たった6000万円くらいのカネから逃げるな!」

というH社長の一喝だった。H社長は、美容室経営で年収1億円以上を稼ぐ事業家である。実績のある人に厳しく指摘してもらえたことが、私の何よりの幸運だった。

人に恵まれていたのである。

そして、厳しく叱ることで、H社長は、私を新たな可能性へと導いてくれたのだ。

もうひとつ、H社長によって導かれたものがある。人とのご縁である。

私が、借金を肩代わりすることにしたと伝えると、

「よし、キミがそれだけの覚悟を決めたのなら、応援しよう」

と、知り合いの事業家を何人も紹介してくれたのだ。

いずれも、年収が1億円を超える人たちである。その彼らがまた、別の知り合いへとご縁をつないでくれた。これがきっかけで、私は富裕層といわれる顧客を何人も抱えるようになったのだ。

成功している人は、自分が困難を克服してきたからこそ、同じように困難に立ち向かおうとする相手を応援しようとする。逆に、困難から逃げる相手に対しては、手厳しい。