もし、私が社員の借金から逃げて、彼女を放りだしていたら、H社長は私との縁を切っていたかもしれない。借金を背負うという決断が、そのあとの私の仕事人生を切り開いたのだ。
アースホールディングスの國分利治社長もまた、私を導いてくれたひとりである。
その國分社長の考え方で、私がとくに気に入っているものがある。
それは、「主演=自分」の映画のシナリオを書くというものだ。
自分が映画で主演するとする。そのときに、あなたであれば、どのような役を演じたいと思うだろうか。そして、あなたがその映画のシナリオを書くとすれば、どのような舞台を選び、どのようなストーリーにするだろうか。
映画のシナリオを完成させるには、当然のことながら、ストーリーのエンディングが見えていなければならない。エンディングを思い描くことで、人生の終わりは、どのような自分でありたいのかが見えてくる。死ぬまでに自分が何をしたいのか、そのためにどのような生き方をしたいのかが、はっきりするわけだ。
3人の人間がいれば、それぞれ異なる3つの人生がある。
ところが、人生は人それぞれであることはわかっていても、私たちはつい自分の人生と、他人の人生を比べてしまう。私の場合は、仕事で成功するために、人生での家族との時間を犠牲にすると決めた。それにもかかわらず、ほかの人が「娘の体育会に参加した」と、うれしそうに話すのを聞けば、自分もそうすべきだったのではと、後悔の念に襲われることもある。
だが、自分の人生は自分だけのものだ。その意味では、誰に何と言われようと関係がない。結局最後は、自分との闘いになるのである。
【年収1億を生む黄金則】人生の主人公になるために、「主演=自分」の映画のシナリオを書く。
(※『プロフェッショナル ミリオネア』(プレジデント社刊)第6章「運をつかむ、分かち合う」より)