東急田園都市線・藤が丘駅(神奈川県横浜市)の目の前に、夜になると真っ暗になる「廃墟モール」がいまでも営業を続けている。1967年開業の「藤が丘ショッピングセンター」は、これまで大規模なリニューアルはされず、シャッターだらけのまま昭和の姿を残す。なぜ駅前一等地に当時のままの建物が残ったのか。ライターの坪川うたさんが現地からリポートする――。(前編)

シャッターだらけで夜は真っ暗

二子玉川ライズやたまプラーザテラスなど華やかなショッピングセンターを有する東急田園都市線。ファミリーを中心に根強い人気を誇る路線である。そんな東急田園都市線沿いに、昭和の様相を残す廃墟モールが存在する。横浜市青葉区の藤が丘駅の目の前にある「藤が丘ショッピングセンター」だ。

本連載における「廃墟化」あるいは「廃墟モール」の定義は下記のとおりである。

開くことのないシャッター。むき出しのまま、ガランとした空き区画。撤退したテナントに散乱する備品。買い物や食事を楽しむ人が少なく、ショッピングモールとしての賑わいが感じられない。

藤が丘駅正面口を出ると、なんともレトロな建物が目に入る。「藤が丘ショッピングセンター」の大きな文字とカラフルなテントが特徴的だ。しかし布は色褪せ、ポールは錆びている。

東急田園都市線・藤が丘駅の正面口を出て目の前にある藤が丘ショッピングセンター
筆者撮影
東急田園都市線・藤が丘駅の正面口を出て目の前にある藤が丘ショッピングセンター
藤が丘ショッピングセンターのテント部分。金属のポールにはサビが目立つ
筆者撮影
藤が丘ショッピングセンターのテント部分。金属のポールにはサビが目立つ

建物の中を抜ける通路の両側と、建物の外側に並ぶ店舗区画はシャッターだらけで、備品を残したままの区画もある。2026年3月時点で営業しているのは写真店、薬局、カフェの3店舗のみ。看板には、今はない店舗の名前が残されている。

かつて路面店があった場所。現在は薬局とカフェを残してすべてシャッターが閉まっている
筆者撮影
かつて路面店があった場所。現在は薬局とカフェを残してすべてシャッターが閉まっている
藤が丘ショッピングセンターの看板。今は閉店しているテナントの名前がズラリと掲げられている。撮影は14時頃。
筆者撮影
藤が丘ショッピングセンターの看板。今は閉店しているテナントの名前がズラリと掲げられている。撮影は14時頃

通路を通り抜ける人はいても買い物を楽しむ人の姿はなく、商業施設としての賑わいは完全に失われている。照明がつかないため、夜になるとより廃墟感が増す。

18時30分頃の藤が丘ショッピングセンターの入り口。照明がつかないため陽が落ちると真っ暗になる
筆者撮影
18時30分頃の藤が丘ショッピングセンターの入り口。照明がつかないため陽が落ちると真っ暗になる
夜18時30分頃の藤が丘ショッピングセンターの様子。通路は灯りのないトンネルのようである
筆者撮影
夜18時30分頃の藤が丘ショッピングセンターの様子。通路は灯りのないトンネルのようである