「睡眠スコア」の気にし過ぎは逆効果
では、「睡眠スコア」をどの程度重視したらいいのだろう? ほとんどの場合、大切なのはただ自分の直感に従うことだ。消費者向けアプリは、睡眠に問題がなく、睡眠リズムや睡眠時間の変動を記録したいなら使いようがあるだろう。
不眠症の場合は、専門家の治療を受けずにデジタル機器やアプリに頼るのは勧められない。睡眠時間や睡眠段階の測定に充分信頼性があるとは言えないからだ。睡眠問題を抱えるが不眠症未満の場合、睡眠トラッカーは概して睡眠時間を過大評価する。複数の研究で、ある機器は睡眠時間の推定では優れた性能を示したが、深い睡眠を過小評価し、浅い睡眠を過大評価した。
ウェアラブル機器は健康的な人が健康状態全般やライフスタイルを見直す際には最適である。だが睡眠問題を抱える患者にとっては消費者向け睡眠テクノロジーは、完璧な睡眠を追求するあまりに睡眠チェックのテクノロジーに過剰に依存し、逆効果になるいわゆる「オルソソムニア」を引き起こすかもしれず、問題を悪化させる懸念がある。
不眠症患者が睡眠トラッカーの結果を慎重に解釈できる睡眠専門家の治療を受けているなら、また、患者が数値を絶えずチェックしないという確証があるなら、ウェアラブル機器は認知行動療法に役立つこともある。
アプリの利点は、治療の成果につながるというより、睡眠記録をつける手間が省けることにあると、研究からはわかっている。
専門家の指導なしの管理は不眠を悪化させる
まとめると次のようになる。睡眠トラッカーでのおおよその睡眠時間の測定については、精度が高まってきている。睡眠に問題がない場合、睡眠の測定や覚醒の記録に優れている。新しいアプリは睡眠段階の測定でも信頼できる。
しかし、「睡眠スコア」のような測定結果の解釈は明瞭でなく、信頼性もない。睡眠段階の測定が信頼できるものであったとしても、健康的なスコアの基準は個人差が大きいため、意味するところを推定するのは難しい。
睡眠に問題はあるが不眠症未満の場合、睡眠と覚醒についての結果の精度が低くなるため、専門家の指導なしに睡眠トラッカーを使用して睡眠を監視するのは推奨できない。
さらに、専門家の指導なく使用すると、過度のチェックが原因で不眠の症状が悪化しかねない。不眠症の治療を受けている場合、例えば認知行動療法などで睡眠のモニタリングをする際には睡眠トラッカーが役立つことはある。

