睡眠改善の「ノイズ」が難聴を招くこともある
睡眠ロボットの調査結果がはかばかしくなかったことは、睡眠の改善について先に述べた以下のことと符合する――不眠症を治療する最も効果的な方法は睡眠制限療法である。これは不眠症のための認知行動療法(CBT-i)の全工程を受けるのと同じくらい効果的である。
睡眠ロボットはリラックスを促すことで不眠に介入し、入眠前に気持ちを楽にさせ、中途覚醒時に再入眠をサポートするなどとされているが、眠れない時に多くの人が抱える大きなストレスを取り除くことまではできないのかもしれない。
睡眠制限療法を受けている人が通常の治療に追加する形で睡眠ロボットを用いて、その効果の有無を調査すれば、興味深い結果になるのかもしれない。
もう一つ、ここ数年関心を集めているのは音を用いることだ。睡眠改善のために用いられる継続的なノイズをよく「ホワイトノイズ」――すべての可聴周波数の音を均等に含むノイズ――と呼ぶが、必ずしも正しくはない。
ホワイトノイズだけでなくピンクノイズ(高周波数の音が少ない)やブラウンノイズ(ピンクノイズよりもさらに高周波数の音が少ない)など他の種類もある。継続的なノイズが寝室の邪魔なノイズを覆い隠し、睡眠の質を向上させるという考え方だ。複数の研究で、継続的なノイズは入眠を速やかにし、睡眠の断片化を減らすのに役立つ可能性があると結論づけられている。
しかし、エビデンスの質は非常に低い。被験者が少ないことがその主な要因だが、ただし、重度の耳鳴りの症状がある人のグループでは、継続的なノイズは入眠の問題を軽減するのに効果があったようだ。別の研究では、健康な被験者ではノイズが睡眠を妨げる、難聴を引き起こすなどの場合があることもわかっている。
睡眠テクノロジーの研究はまだ初期段階
寝室のノイズに対処するテクノロジーとしてはノイズをできる限り取り去るというものもあり、ノイズをほぼ完全に除去する耳栓を使用するのがその一例である。ノイズを遮断すれば睡眠の質が向上するのは容易に想像がつく。
実際、ノイズキャンセリング耳栓は睡眠改善に効果がある。医療関連職のシフト制勤務者を対象とした研究では、睡眠の質が向上し、緊張が低減して、日中の眠気が減少したことがわかっている。しかし、デジタルの耳栓が従来の耳栓と比べてどの程度優れているのかは明らかでない。
睡眠の改善における新技術の有効性についての研究は、まだ初期段階だ。機器やテクノロジーが本当に睡眠の改善に役立つかどうかを明らかにするには、さらに大規模な研究を必要とする。
この種の製品を扱う上での当面の最善のアプローチは、治療に単独で用いるのではなく睡眠制限療法のような効果が実証済みの治療に付加的に使用することで、睡眠の質の向上のための基本原則に目を向けることだ。
これは未来よりも過去と関係している。急速に変化する環境の中で、心身のバランスを維持するための知識は不可欠なのだ。夜ぐっすり眠るためには、私たちの身体が太古から持つ自然な欲求に従うのが最善であるようだ。



