カネとヒトと情報を総動員
その中核的な目標が、「半導体の自給率を、2025年までに70%に引き上げる」という、極めて野心的なものでした。
その手段は、まさに国家総動員でした。
○莫大な国家補助金
○人材の引き抜き(千人計画)
○サイバー攻撃・産業スパイ
中国は、このカネとヒトと情報を総動員した戦略で、先進国を猛追し始めます。
中国のこの露骨な野心に対し、アメリカは当初、静観していました。しかし、2010年代後半、アメリカは二つの脅威に直面し、ついに目を覚まします。
アメリカ「中国のハイテク産業を叩き潰す」
脅威①:軍事・AIへの転用
中国の半導体技術の進化は、単に経済的な脅威に留まりませんでした。
中国人民解放軍が開発する、台湾侵攻用の極超音速ミサイルや、少数民族を監視する監視カメラ(AI顔認証システム)、最新鋭のステルス戦闘機――。これら軍事・監視技術の頭脳に、NVIDIAやAMDといったアメリカ企業が設計したAIチップが使われていることが明らかになったのです。
アメリカの技術が、アメリカの覇権を脅かす兵器を生み出している。この自己矛盾に、ワシントンの安全保障関係者は震撼しました。
脅威②:ファーウェイ(Huawei)という存在
2018年頃、中国の通信機器メーカーファーウェイは、5G(第5世代移動通信システム)の基地局技術で世界を席巻し、スマートフォンでもAppleやSamsungを凌駕する勢いでした。
そのスマホの頭脳には、ファーウェイ傘下の「ハイシリコン」が設計した、世界最高峰の「麒麟チップ」が搭載されていました。
アメリカは、5Gという次世代インフラと、AIという次世代技術の両方で、中国に王手をかけられる寸前に追い詰められたのです。
ここにおいて、アメリカはついに半導体は兵器であると断定。中国のハイテク産業を叩き潰すための戦争を決意します。
その最初の標的が、ファーウェイでした。
2019年から2020年にかけ、トランプ政権(当時)は、ファーウェイに対し禁輸措置を発動します。
これは、アメリカの技術やソフトウェアを使って製造された半導体を、ファーウェイに輸出することを原則禁止する、というものでした。
この一撃は、ファーウェイのアキレス腱を正確に射抜きました。
