人間関係を構築するには何をするといいか。元マッキンゼーでOECD職員の星歩さんは「フランスで働き始めてから、ランチや、わずかなコーヒーブレイクは人脈を育てる投資と捉えている。さらに人脈形成の重要な場として、フランスには仕事終わりに『アペロ』という文化がある」という――。

※本稿は、星歩『世界基準の仕事術』(大和出版)の一部を再編集したものです。

オフィスでコーヒーを飲みながらのディスカッション
写真=iStock.com/South_agency
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プライベートのことも包み隠さず

フランスで働き始めて気づいたことがあります。どんなに忙しくても、ランチの時間をしっかり取ること。そして、同僚と一緒に食事をすること。たとえわずか15分のコーヒーブレイクであっても、その時間を無駄にしない。

こうした何気ない時間が、人間関係を育て、信頼関係を築くための「投資」になります。

職場でのランチやコーヒーブレイクでは、最近の出来事や悩みを打ち明けたり、相手の悩みを聞いたりすることが自然に行われます。日本ではプライベートな話を職場で共有するのはタブーとされることが多いようですが、フランスではむしろ歓迎されます。

たとえば、マッキンゼーやOECDでは、プライベートな問題が業務に影響する場合、上司にできる範囲で相談することが推奨されています。

実際、OECDのトレーニングで扱ったケースにこんなものがあります。

ある日を境に、部下の1人が締め切りを守らなくなり、プロジェクトの進行が遅れ始めました。上司は何度もフィードバックを試みますが、状況は改善されず、最終的には勤務態度に問題があるとして人事に相談するまでに至ります。

しかし、それがさらに上司と部下の信頼関係を壊し、状況は悪化してしまったのです。あとからわかったのは、部下には母親の病気というプライベートな問題があり、業務に集中できない状態だったとのこと。

部下は相談せずに抱え込み、上司は相談しやすい環境をつくれていなかった。このケースでは、部下も上司も、それぞれの立場で責任があったと言えます。

このケースが示すのは、プライベートな悩みを職場で適切に共有することが、トラブルを防ぎ、問題の早期解決につながるということです。どんな悩みであっても、共有することで協力関係が築けることもあります。

信頼関係は、仕事だけでなく、こうした日常のコミュニケーションから生まれるのです。