ミャンマーで11月下旬から始まるASEANオリンピック(SEA GAME)。開催地である首都ネピドーではいま、国家の威信をかけて最優先で開発が進められている。近代的なスタジアム、交通インフラ、ホテル、選手村、お土産ショップなどの関連施設の完成も間近だ。一方、首都ネピドー開発優先の余波でホテル、道路、上下水道などの各種インフラの開発が一向に進んでいないのがミャンマー最大の都市ヤンゴンだ。

首都ネピドーではASEANオリンピックに向けてインフラ整備が進んでいる。

しかし昨年末、待望の外国投資法が成立し、外国勢の進出による様々なサービスや物品などが流入し始め、ヤンゴンの人々の生活環境は少しずつ変化を見せ始めている。24時間のコンビニエンスストア、イタリアンや韓国系の飲食店、欧米の大学などの教育機関の進出、ペニンシュラ、シャングリラ、ノボテル、ヒルトンなどの5つ星ホテルの建設が開始されるなど、変化のスピードは早い。

『これ1冊ですべてわかる!ミャンマー進出ガイドブック』(プレジデント社)の著者、宍戸徳雄がますます過熱するミャンマーの最新労働・不動産事情を紹介する。

労働市場は逼迫、賃金は上昇傾向

アジア最貧国と言われるミャンマー。各統計値が示す国民全体の平均賃金は、月収8000円程度。しかし、昨年成立した最低賃金法(公務員)などを背景として、公務員のベース賃金は、民主化後の2年で、50000チャット近く上昇した。

ASEANオリンピック会場となる真新しいスタジアム。

民間人材の賃金についても、中国、アメリカ、韓国、シンガポール、タイ、日本などの外国企業の進出ラッシュで人材獲得競争が激化する中、賃金の上昇圧力に晒されている。

先般、私が独自に行った調査によれば、IT系オフショア開発現地ミャンマー人マネージャーの月収は1000ドル程度、IT系SEは500ドル程度。この水準の賃金を支払わないと現地人材の確保は極めて難しい状況にある。また、会計事務所のミャンマー人CPAは、月収800~1200ドル程度、CPA補助で500ドル程度。