ノルウェーの持続可能な漁獲の仕組み
なぜ、ノルウェーでは日本人に好まれる、大型で脂が乗ったサバが獲れるのか。筆者は2022年9月下旬、現地入りしてその理由を目の当たりにした。漁業が盛んなノルウェー南部西岸のオーレスンを訪れると、岸壁に横付けされた大型漁船から、隣接する水産加工場にフィッシュポンプを通じて、獲れたばかりのサバが次々に送り込まれ、ベルトコンベアーを通ったサバがサイズ別に選別され、ただちに梱包・製品化されていた。
こうした水産加工場は、同国にいくつかあるが、漁獲物の情報は既に漁船上でネットを通じて公開され、その情報を基に現地の商社などが買い付けを済ませている。日本のように、漁港に揚がってから、仲買人などが品定めするのとは大きな違いがある。
加工場に入ってくるサバを見ると、明らかに日本のサバとは違うことに気づく。多少の差はあるものの、すべてが大きく立派なサバばかり。大きいサバばかりなのは海域の違いなのか。現地の漁業関係者に尋ねてみると、「全ての漁船に漁獲量が決まっており、その中でなるべく品質のいい、サイズの大きいサバを獲ろうとするため、サイズの小さい魚の比率はとても低い」という。
こうした選択的な漁獲によって乱獲に陥らず、比較的サバの資源が安定。持続的利用が図られていることが専門家からも評価されている。他方、日本では、小型魚を獲らずに大型魚を待つのではなく、どんなサイズでもとりあえず獲って帰港し、水揚げ金額を稼ごうという傾向がある。常に競争原理が働いており、ノルウェーの小型魚保護につながる管理とは対照的だ。
大きく脂が乗ったノルウェーのサバは、需要が伸びる一方であり、現地の日本人の水産関係者は「この先、10年もすれば日本で食べるサバは、ほとんどノルウェー産になるのではないか」と話していた。
※「*」がついた注および補足はダイジェスト作成者によるもの
コメントby SERENDIP
日本漁業の現状を踏まえ、事態を打開するには「大量に獲れた魚をおいしく食べる」方針が重要だと著者は訴える。本書には低利用魚であるマイワシや小サバを煎餅、味噌煮、缶詰などに加工して付加価値を高める事例も紹介されているが、水産会社や漁協の努力に任せるだけでは進展は望めないだろう。消費者も国産魚に対して理解を深めることが肝要だ。例えば「サイズが小ぶりでもおいしく食べられる」というニュートラルな視点や、国産魚を食べる機会が日本の漁業・魚食文化を支えていくという意識がいっそう求められるのではないか。
- コンテンツは、㈱情報工場が運営する書籍ダイジェストサービスSERENDIPの一部です。
- ダイジェストは、出版社もしくは著者の許諾を得て作成しております。
- ダイジェスト本文の一次著作権は、正当な権利を有する第三者に、二次的著作権は㈱情報工場にそれぞれ帰属し、その他のコンテンツの著作権は、全て㈱情報工場に帰属します。
- 本コンテンツを個人利用以外で許可なく複製、転載、配布、掲載、二次利用等行うことはお断りしております。


