水揚げ量ダントツ1位はマイワシ
ここで、現在の日本の漁業生産を詳しく見ていきたい。2024年の漁業生産を魚種別に見ると、ナンバーワンはマイワシで66万7000トン(千トン単位の概数。以下同じ)、2位はホタテガイで31万7000トン、3位は「サバ類」で25万6000トン、4位はカツオで24万3000トン、以下、5位スケトウダラ(12万4000トン)、6位カタクチイワシ(10万1000トン)までが10万トン以上となっている(農林水産省)。
各魚種、前年よりも水揚げ量が減っている魚種が多いが、そんな中でも群を抜いて多いのが首位のマイワシである。2位で貝殻を含めたホタテガイの2倍以上となっており、孤軍奮闘している貴重な存在と言える。だが、マイワシの人気は、決して高くない。大量に漁獲されている割に、魚売り場で大量に売りさばかれているとは言いがたい。
マイワシに関する調査結果を見ると、興味深い数字が目に入った。農林水産省の全国主要漁港(32漁港)における産地水産物用途別出荷量調査結果(*2024年)を見ると、「養殖用又は漁業用飼料向け」が42.7%でトップ。このほか、「魚油・飼肥料向け」が38.5%となっており、8割以上が刺身や焼き魚ではない「非食用」として扱われていることになる。
2024年の水揚げからみれば、約8.6万トンは食べているが、残りの約37万トンのマイワシは、人が食べずにほかの用途で利用されており、もったいない気がしてならない。水揚げが上位で比較的たくさん獲れている魚たちをもっと利用すれば、漁業者の実入りも上がり、魚食文化の継承についても、良い筋書きが描けるようになってくるのではないかと思う。
「餌になるんじゃないかな」
2022年冬、三陸の漁港で目の当たりにした光景は印象的だった。定置網で漁獲されたマイワシなど、主に小魚ばかりの水揚げだったが、ドサッとダンベと呼ばれる魚槽いっぱいに詰め込まれていた。
中を覗き込むと、新鮮でピンピンした小魚の中に、それなりに大きめのマイワシも含まれていた。そのマイワシを手に取り、近くにいた漁港関係者に「これは刺身にしたらうまいでしょう?」と言うと、「まあ、そうだね……」と少し頷いたように見えた。
ただ、この数種の小魚が入ったダンベの中身を、鮮魚出荷できる魚だとか、あるいは冷凍して餌にするかなどと判断するような人手は、掛けていられないといった様子。マイワシやアジ、中にはタチウオなども入っていたが、多くが市場価値の低い小魚であれば分ける必要なし。つまり雑魚扱いだ。まとめて冷凍庫で眠らせ、行きつく先は「(天然・養殖漁業用などの)餌になるんじゃないかな」と、漁港関係者は話していた。

