水産物の複雑すぎる流通
メジャーな青魚が日の目を見ない要因の一つには、水産物の流通が複雑であることが挙げられる。漁港で水揚げされた魚は、多くの場合、漁港に併設された卸売市場で、競りや入札が行われ、産地の仲買人に引き取られる。そこからまた別の業者を通じて、漁港付近の小売店に運ばれたり、あるいは東京・豊洲市場など都市部の中央卸売市場へ出荷されたりする。豊洲では、再度競りや相対などの取引によって、卸業者から仲卸業者へと魚が渡り、料理店や鮮魚店がその仲卸から魚を買い付けるという流れになる。
そうした何人もの組織・人を介して、最終消費段階へ向かうことが多い魚だけに、「人気がなくてもおいしいよ」という共通の思いがつながらなければ、流通しない。逆に言えば、需要が高いとわかっている魚種に流通対象が偏る傾向が強いということになる。こうした事情から、マイワシなど地味な青魚が店頭に並ぶのはごくわずか。流通しない、売っていないから消費は上がらない。
国産サバより食べられているノルウェー産サバ
日本で2番目に多く獲れている魚であるサバも、あまり食べられていない。総務省の家計調査によれば、2024年の一世帯当たり(2人以上)の「サバ」の購入数量は、年間621グラムで、10年前の2014年(1148グラム)に比べて46%減少。半分近くに減っている。
サバを買って調理し、食べていても、それが国産のサバだかどうか、わからない。今は大西洋産のサバが日本で浸透し、幅を利かせているからだ。特に、ノルウェー産のサバはかなり以前から日本に浸透しており、今やなくてはならない存在となっている。
ノルウェー大使館水産部によると、同国から日本へのサバ輸出は、2024年が約5万3000トンだった。一方、日本の2024年のサバ類生産量は、25万6000トン。したがって、国内生産の5分の1ほどになるが、依存度はそんなものではない。なぜなら、中国やベトナムなどを経由して日本へ入ってくるノルウェー産のサバを合わせれば、およそ14万トンになるからだ(同国大使館水産部)。
日本では(*小型魚が多いため)国産サバの食用としての利用が少なく、飼料や肥料などに使われる分が多い。それを裏付けるように、スーパーや弁当、定食屋などでもノルウェー産のサバは当たり前のように扱われている。国産よりノルウェー産のサバを食べまくっているのに、そうした認識は低く、「国産かな」といった程度にとらえられている可能性が高い。

