ハンバーガーチェーンの勢力図に変化が起きている。最大手マクドナルドに続くモスバーガーが、コロナ禍を機に業績を伸ばしているのだ。何が成長を支えているのか。商品の企画・開発に携わってきたモスフードサービス取締役上席執行役員・商品本部長の安藤芳徳氏に取材した――。(第1回/全2回)
モスフードサービス取締役上席執行役員・商品本部長の安藤芳徳氏
撮影=西田香織
モスフードサービス取締役上席執行役員・商品本部長の安藤芳徳氏

「ちょっと高いモス」の印象に変化が

モスバーガーを運営するモスフードサービスの2026年3月期第3四半期の連結業績は、売上高が781億6400万円(前年同期比7.4%増)、営業利益61億5100万円(同47.3%増)。店舗実績も、既存店売上高110.4%など、前年同期を上回った。

モスバーガーと言えば、契約農家から仕入れる野菜へのこだわりなどがイメージとしてはよく知られている。一方で、「マックに比べてちょっと高い」というざっくりした印象で捉えている人も多いだろう。

しかしこのところ、その状況にも変化が現れているようだ。

まず、コロナ禍で外食機会が減ったことで、外食に求められる価値が大きく変わった。「どうせお金や時間を使うならちょっと贅沢をしたい」と考える人が増えたのだ。さらに物価高を背景に消費控えや外食控えが起こり、その傾向は強まっていると考えられる。もともと安かったものに高いお金を払うより、もともと高かったほうを選ぶ心理が働くわけだ。

マックの原価率37%に対し、モスは52%

相対的に、ちょっと高いイメージのあったモスのコスパが良く感じられるようになっていると考えられる。なお、両チェーンで人気のある商品を比べると、ビッグマックは単品500円、セット770円(2月25日にそれぞれ480円、750円から値上げ)、モスバーガーは単品470円、レギュラーセットにすると920円だ。マクドナルドが値上げしたことで、どちらがお得か分かりにくくなった。

実際にはどちらのコスパが良いのか。売上高のうちの売上原価を見てみると、モスは約52.3%(2026年3月期 半期報告書より算出)。マクドナルドは売上原価のうち材料費が約37.2%となっている(直営の場合、2025年12月期 半期報告書より)。モスの数字は連結の原価率で、8割を占めるフランチャイズ店への卸売も対象となっているため単純比較はできないものの、モスの原価率がマクドナルドを大きく上回っている。

飲食店が採算をとるためには原価率を3割に抑えるべしという業界の常識があるので、これはマクドナルドが普通で、モスの原価率が高すぎると見るべきだろう。