怒りには、原因となるもう一つの感情がある
このお客様の場合、不快になる出来事がいくつも重なり、大切なバッグが汚されたことを機に、それが怒りとなって爆発したのです。
ですから、怒りの根っこには、自身をぞんざいに扱われたという悲しみがあったのです。
クレームを対応する際は、まずはその怒りの根にあるものをすべて吐き出させることです。そのためにも、相手の話をしっかり聴くこと。すべてを吐き出してもらうことが重要です。
怒りという感情には、必ずその原因となるもう一つの感情があります。そこにどんな感情が生まれたのかを知ることなしに和解することはできません。
「理不尽なクレーマー」だと決めつけない
クレーム対応で重要なのは、最初から相手を「理不尽なクレーマー」と決めつけないことです。
本当に理不尽なケースもありますが、多くは本人の思いや事情にハッキリとした理由があります。
性善説(人間の本性は生まれながらにして善であるとする思想)で話を聞くことで、相手の心の壁が少しずつほぐれ、解決への糸口が見えてきます。
クレームは「お客様VSスタッフ」の対立構造になりやすいものですが、対立するのではなく、同じ方向を見ることが重要です。
「○○様にとって一番良い方向に向かうようお話を進めていきましょう」と伝え、同じゴールを見ることが大切なのです。
クレームだった会話がスムーズになる秘訣
ゴールを同じ方向に設定すれば、相手も“戦うモード”から“協力モード”に切り替わります。
「解決のためにいくつか質問をさせていただけますか」と声をかければ、相手は“責められている”のではなく“協力を求められている”と感じ、対話がスムーズになっていきます。
クレーム対応の目的は、ただ謝って場を収めることではありません。背景を理解し、相手の尊厳を守りながら解決の道を一緒に探ることこそが、ホスピタリティの実践です。
怒りの奥にある「悲しみ」や「孤独」を受け止めることができたとき、お客様は敵から“信頼できる味方”へと変わっていきます。



