コーヒー1杯でここまで変わる計算力と記憶力
気持ちが高揚するため、うつうつとした気分を軽くさせることにもつながります。また、こんな実験があります。
学生たちをカフェイン入りのコーヒーを飲むグループと、カフェインレス(デカフェ)のコーヒーを飲むグループの2つに分け、簡単な計算問題を解いてもらったそうです。
このときカフェイン入りのコーヒーを飲んだグループは、計算スピードも正答率も高まりました。さらにジョンズ・ホプキンス大学のグループによる研究では、カフェインは記憶の定着を高めるという報告もあります。
このようにカフェインは仕事のパフォーマンス向上にも役立つ可能性があるのです。頭だけでなく、身体を使う場面でもカフェインは用いられています。
2021年に国際スポーツ栄養学会(ISSN)が発表した論文では、すべての研究ではないものの、多くの研究によりカフェインが運動能力を即時的に向上させる結果が示されていると指摘しています。
具体的には次のようなものです。
•体重1kgあたり3~6mgのカフェインの摂取で、運動能力の向上が見られる。
•長時間の有酸素運動と短時間の高強度運動のどちらも即時的に能力が向上する。
•運動60分前の摂取が一般的だが、最適な摂取タイミングはカフェインの供給源(サプリメントか飲料かなど)により異なる。
また、持久力やスピード、筋力などの向上のためにカフェインを摂取するアスリートもいますし、製薬会社などがアスリート向けにカフェイン入りのサプリメントを作る例もあります。
さらに、カフェインは胃液の分泌を促すため、消化が進み、便通が改善されたりもします。このことからダイエットにも効き目があると考えられます。
いずれの作用にも個人差はあり、ISSNの論文でも副作用への注意と併せて書かれていますが、カフェインに強い力があることがよくわかるのではないでしょうか。
「コーヒー文化」がビジネスパフォーマンスを変える
とはいえ、以前は私もカフェインのこうした力をはっきりとは認識していませんでした。高校時代の期末試験などで、深夜の勉強のおともにカフェイン入りドリンクを飲んでいたくらいでしょうか。
私がカフェイン、とりわけコーヒーを飲むようになったのは大学の博士課程でアメリカ・ロサンゼルスに留学していたときのことです。アメリカには「コーヒー文化」があります。
朝一番の「Coffee to go」は、多くの人にとって出勤ルーティンの一部です。カフェで買ってきたコーヒーを職場で飲むというのはごく一般的な光景です。
留学先の研究室でも、スターバックスなどで買ってきたエスプレッソを飲む学生がいたり、フレンチプレスを持ち込んで自分で淹れる人までいたりしました。
何より研究室に立派なコーヒーマシンが置かれていたことには驚かされました。コーヒーで黒く染まったマグカップもよく見かけたものです。
アメリカでは、コーヒーが「仕事のパフォーマンスを高める手段」として根付いています。デスクワークや会議で常飲し、休憩時間にもコーヒー……。
これはこれで問題にもなっているのですが、ここではいったん脇に置いておきましょう。

