最下位に転落した「元経済大国」

加えて、日本の国際競争力の低下は、数字が冷徹に物語っている。

2024年、IMD(国際経営開発研究所)が毎年発表している世界競争力ランキングで、日本は過去最低の38位(※3)となった。1989年の調査開始から1992年まで1位を維持していた国が、30年あまりの間にここまで順位を落としたのである。

さらに深刻なのは、G7における一人当たりGDPの順位だ。2000年、日本の一人当たりGDPはG7で第1位だった。しかし2024年には、同じG7のなかで最下位に転落している。

この間、アメリカはIT革命とデジタル産業の台頭を梃子に成長を続け、ドイツは製造業の高度化とEU経済圏を背景に競争力を強化した。カナダやイギリスも移民政策や金融・サービスの拡充によって地位を保った。日本はというと、バブル後の停滞から抜け出せず、構造改革やイノベーションの波に乗り遅れた。

国際競争力を失ったオールド・エリート

この落差は偶然ではない。各国の政治家、官僚、企業のリーダー層がいかに戦略的に動いたか、その差が数字として表れたにすぎない。

過去に戦後復興という特殊な追い風があったとはいえ、環境変化に適応せず有効な手を打てなかったのは、日本のエリート層自身であった。その意味で、彼らが未来を設計するニュー・エリートではなく、過去の成功体験に安住したオールド・エリートであったことを、この数字と国際比較が静かに突きつけている。

その証拠に、IMDが発表している2024年世界人材ランキングでは、「上級管理職の競争力」が67カ国中65位、「国際経験」が最下位、「語学スキル」が66位でほぼ最下位(※4)と、日本の上級管理職は著しく国際競争力がないと見なされている。

PISA(国際学習到達度調査)における15歳の学力・思考力・応用力では、81カ国中4位という高い水準を維持していた(※5)にもかかわらず、だ。

会話するビジネスマン
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環境変化のスピードは加速している。だが、日本の人材も組織もその変化に十分に適応できていない。そして、この遅れは静かに、しかし確実に日本の競争力を削り続けている。

※3 IMD World Competitiveness Ranking 2024(IMD, 2024/6) https://www.imd.org/centers/worldcompetitiveness-center/rankings/world-competitiveness/
※4 IMD World Talent Ranking 2024, Japan Country Profile(IMD, 2024) https://www.imd.org/country-profile/talent-japan-2024/
※5 PISA 2022 Results(OECD, 2023) https://www.oecd.org/pisa/publications/pisa-2022-results.htm