ビジネスの成果を左右する交渉のコツは何か。組織開発・人材開発コンサルタントの布留川勝さんは「交渉はしばしば『勝ち負け』のゲームだと誤解されるが、アメリカのハーバード流交渉術では、そうではないいくつかの原則を定めている。ビジネスもその原則は同じで、相手の『立場』に引きずられているかぎり硬直する」という――。

※本稿は、布留川勝『ニュー・エリート論』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

伝達する対話、共創する対話

コミュニケーションという言葉を、単に「話すこと」や「報告・連絡・相談」と捉えている人はまだ多い。だが、いまこの時代に本当に必要なのは、自分の考えを的確に表現し、相手を受け止め、共に成果を創出する力だ。

伝えたつもりで伝わっていない。わかってくれていると思っていたのに誤解されていた。そんなすれ違いが、組織やプロジェクトの足を引っ張っているケースは少なくない。「伝える」とは、相手の文脈に乗せて届けることだ。伝えることはゴールではない。

相手がどう受け取り、どう反応し、どう行動を変えるか。その変化までを見届けて初めて、コミュニケーションは成立する。コミュニケーションとは、単なる一過性の伝達ではなく、全体を設計する行為(コミュニケーション・デザイン)なのである。