ホンダがとった戦略
まずは両社の販売台数を簡単に見てみよう。図表2は、2000年から2010年までのトヨタとホンダのハイブリッドカーのアメリカでの販売台数(世界での販売台数にもほぼ同じ傾向が見られるのを示している(1)。
ご覧の通り、両社とも販売台数が一定以上に達するまでには時間がかかっている。ホンダの最初のハイブリッドカーは「インサイト」という小型の2シーター車だったが、これは最後までさっぱり売れなかった。その後、ホンダはハイブリッドカーの購買層は2シーター車を好まないと判断し、ベストセラーのホンダ・シビックをベースにした新しいハイブリッドカーを発表した。
この決断は主に直感的なものであり、またこの設計上の決定はエンジニアたちにとって確実なメリットがあった。新たにモデルを開発するより、既存のモデルをベースにしてそれをハイブリッドカーに仕立てるほうが、サプライチェーン全体への負担ははるかに少なくて済むからだ。
プリウスの独特の外観
一方、トヨタは異なる戦略を選び、それが同社に大きな違いをもたらした。1997年から2003年にかけて生産された初代プリウスは、トヨタのベストセラー車種の1つであるカローラをベースに設計された。第2世代のプリウスは様々な面で改良されていたが、トヨタを成功に導いた重要な変更が1つあった。
プリウスは、今では誰もが知るようになった、独特の外観を持つ車に再設計されたのだ。それは、ハイブリッドカーであることを示す小さなプレートを背面に取り付けただけのセダンのような外観ではなかった。この新型のプリウスを運転して職場の駐車場に入れば、あなたがハイブリッドカーを所有していることは一目瞭然になる。
車の購入者が自分は環境に配慮しているというシグナルを周囲に送るためには、この外観の特徴は極めて重要だった。
他人に気づいてもらえなければ、シグナルを送ることに何の価値があるのだろう? ハイブリッドカーであることを示す小さなプレートだけでは、他人に気づいてもらない。それは、シグナルとしてはあまり役に立たないのだ。モデルチェンジをして外観を一新しても、誰からも気づいてもらえなければ意味がない。
プリウスの所有者は、自分たちのしていることを自覚していないはずだと思うのなら、図表3を見てほしい。これは、私が家の外で見かけたプリウスに貼ってあったステッカーだ。




