意外過ぎる購入動機

プリウスのオーナーは、自分の車がユニークで、周りから「カッコいい」と思われるような外観ではないことを気に入っている。プリウスの外観を見た人は、こんな車を買うのは本当に環境意識の高い人だけだろうと思うはずだ。

ウリ・ニーズィー・著、児島修・訳『インセンティブが人を動かす』(河出書房新社)
ウリ・ニーズィー・著、児島修・訳『インセンティブが人を動かす』(河出書房新社)

図表2が示すように、販売台数を伸ばしたのは2003年に発売されたこの第2世代のプリウスである。たしかに初代プリウスよりも良くはなったが、ホンダのシビックもインサイトより優れていた。しかし、ハイブリッドカーの購入者のうち、ホンダのシビックを選んだのはごく一部にすぎない。購入者は、個性的な外観のプリウスを好んだのだった。なぜなら、注目されたかったからだ。

この考えは、2007年にニューヨーク・タイムズ紙がオレゴン州バンドンにあるCNWマーケティングリサーチの調査結果を引用した際にも裏付けられた。

この調査によれば、トヨタ・プリウスの購入者の57%が「この車に乗ることで自己主張ができる」ことを購入理由として答えていた。「燃費の良さ」を理由に購入したと答えたのは36%にすぎず、「排ガス量が少ない」は25%とさらに少なかった。

「私が伝えたいメッセージを発信できる」

この記事のタイトルは「ハイブリッドと言えばプリウス」という、核心を突いたものだった。執筆者のミシュリーヌ・メイナードはこの記事の冒頭で、「他のハイブリッドカーが軒並み買い手を見つけるのに苦労している中で、トヨタのプリウスはなぜこれほどの成功を収めているのだろうか?」と読者に問いかける。

彼女の答えは、購入者が自分がハイブリッドカーに乗っていることを周りに知ってほしいと思っているから、というものだった(2)。メイナードはこの推論を裏付けるために、プリウスを選んだ理由について購入者にインタビューを行った。その結果、次のような答えが多く返ってきたという。

「私は、自分が環境を大切にしていることをぜひ周りの人たちに知ってほしい」――ジョイ・フィーズリー、ペンシルベニア州フィラデルフィア在住

「カムリハイブリッド(トヨタの中型乗用車)は、私が伝えたいメッセージを発信するには微妙だった。私はできる限り大きなインパクトを与えたかった。プリウスのほうが、はっきりとしたメッセージを伝えてくれる」――メアリー・ガッチ、サウスカロライナ州チャールストン在住