日本人にもなじみが深いネタを掘り下げる

さらに「好きな小説家は誰か」という質問もした。

大野和基『世界基準の「質問力」』(祥伝社)
大野和基『世界基準の「質問力」』(祥伝社)

ぱっと見“ベタ”な問いに思われるかもしれない。だが、前の晩のリサーチで、村上春樹作品のファンだということがわかっていた。当然、今回の取材結果は日本の媒体に掲載される。

であるならば、日本人にもなじみが深いネタを掘り下げたほうが、読む人にとってもカズオ・イシグロがどういう人物か、伝わりやすい。

結果、彼は、村上春樹が最も興味のある作家のひとりであるとともに、それは日本人だからではなく、国を超えた作家だからであること。また、村上と会うときは文学論ではなく、互いに好きなジャズを中心に他愛もない話をすることなどを明かしてくれた。

そのほかにも、両親がとくに日本語教育を押しつけなかったので、日本語は5歳で話すのをやめたこと。日本についての小説を書き終えるまで日本を訪れないように決意したため、再び日本に戻ってきたのは35歳のときだったこと。

自分が日本だと思っていたのは、すべて長崎のイメージだったため、京都や東京など訪れたことのない場所は“異国”であったことなどを赤裸々に語ってくれたのである。

人となりを知れば、得られる答えの幅も広がる

ちなみに、『わたしを離さないで』を数時間で何とか読めた理由。それは、カズオ・イシグロの英語が、とてもやさしかったからだ。ただし、それには理由がある。

彼は日本語教育を受けていないとはいえ、両親とは日本語を使って話すこともあったため、まったく日本語がわからないわけではない。

その点、「なぜそんなに簡単な英語を使うのか」と聞いてみた。すると、「誤訳されたくないからだ」と教えてくれたのだ。こうして、とにもかくにも、どうにか取材は成功に終わった。

ビジネスパーソンは、対外的な商談やプレゼン、あるいは社内の事業計画や人事のように“トピック”をめぐって質問する機会が多いだろう。

だが、その交渉相手が誰であれ、事前に少しでもその人となりを知っておけば、質問の幅=得られる答えの幅も広がるはずだ。その調べにこそ、多少でもいいので時間を割きたい。

忙しい取引先のたっての希望で、急遽翌日にビジネスミーティングが決まったとしても、慌てる必要はない。いまここで挙げた時間までの逆算、そして人物へのフォーカスをしっかりと意識すれば、準備期間の短さも十分リカバーできるのである。

CONCLUSION
人へのフォーカスこそ、
ピンチを救う力となる!
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