他の人と比べてしまうとほめづらくなる

「何かアドバイスはありませんか?」こう聞かれたとします。

「今のままでいいんじゃないの?」

これは不親切ですよね。

「特に思いつかないんだけど……」とそっけなく答えるのではなく、何かひとつでもいいので具体的に答えるようにするのです。

「少し的外れかもしれないけど、◯◯するのもいいんじゃないかと思う」。あるいは、「ここをより伸ばせばいいよ」とその人のストロングポイントをふたつぐらい言ってみる。ふたつ言えばひとつが当たるかもしれません。「マネジメント」の発明者ピーター・ドラッカーがストロングポイント=長所を強みにし、成長させていくのがいいと言っています。

ですから、「ここが強みだ」というところをはっきりと言って、ほめるのがアドバイスとも言えます。

強みが見える場合はいいのですが、

「この人はほめどころがないな」

そう思ってしまう人をどうやってほめればいいのでしょうか。

それは他の人と比較して見ているからで、まだその人のよさを見つけることができていないだけなのです。ここで重要なのは「細かいところにまで目を向けること」です。「その人の中で強いて言うなら……」そう考えてみましょう。そうすれば、「これもこの人のよさだな」と思えるところが見えてくるものです。

注目すべきは「相手の中での変化率」

考え方としては、こうです。

「当社比」は「従来の自社製品と比較をしてよくなった」ということです。これと同じように、同じ人を2カ月前と比べてみて、よくなっていれば評価をしやすくなります。

齋藤 孝『ほめるは人のためならず』(辰巳出版)

たとえば、英語の発音が得意でない学生がいたとします。2カ月後、その学生の発音が少しでもよくなっていた場合、「うまくなっているね」と評価することができます。

このように個人の中でよくなった箇所を評価するなら、ほめられた学生もうれしいでしょうし、やる気もみなぎるでしょう。まだ開花していなくても、その人が持つ「芽」や「種」を見つけ出すことがポイントとなります。

細かい変化に目をつけるのが数学の微分積分の「微分的なものの見方」です。これは、変化の度合いを見る「変化率」。変化率を見るようにするのが大切です。他の人とは比べず、その人の「変化率」に注目していくようにするといいでしょう。

しかし、先入観が強いと「この人はこういう人だから」「今この人を評価するわけにはいかないな」と思い込んでしまうことになります。そうすると伸びていく「芽」や「種」を見つけられなくなりますし、人間関係も改善していきません。

また、社会人であれば未経験の業務は単に慣れていないということがあるかもしれません。「慣れの問題」と受け止めることで評価の幅も広がるでしょう。

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