思考の材料となる知識や情報に多様性を

でも僕のいう「勉強」は、そういうものではありません。

もちろん仕事に直接関わる知識は覚えなければいけませんし、資格を取るのもいいでしょう。しかし、それは思考力を高めるのに役立つ勉強ではありません。

というのも、仕事や資格に関係する専門知識だけが増えていくと、かえって物事の見方や考え方が硬直化してしまい、柔軟な思考ができなくなることもあります。考える力そのものを高めるには、もっと幅広い知識が必要です。

たとえば会議のような場では、参加メンバーそれぞれの考え方に基づく多様な意見が求められます。みんなが同じような考え方をするなら、わざわざ集まって会議など開く意味がありません。

でも、みんなが自分たちの専門分野に関する勉強しかしていなかったとしたら、どうでしょう。それぞれの考え方が同じようなものになってしまいそうですよね。

思考の材料となる知識や情報に「人それぞれ」の多様性がなければ、出てくる意見も多様にはならないでしょう。結局、その分野における従来の「常識」に沿った考え方しかできなくなるおそれもあります。

オフィスの若いビジネスパーソンたち
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人とは違う思考の材料を脳の中にストックする

あなたの会社の会議は、どうでしょうか。そういう「常識」に当てはまらない意見を口にする人も、少なからずいるはずです。ほかの人が思いつかないような意見を見聞きすると、その人が特別な思考力の持ち主のように感じられるかもしれません。

でも、特別なのはその人の思考力ではなく、思考に使う材料のほうだと思ったほうがいいでしょう。

たしかに、同じ材料を使うなら思考力そのものが高い(端的にいえば「頭がいい」)人のほうが、良い答えに早くたどりつきます。しかし、どんなに頭がよくても、人と同じ材料しか持っていなければ、同じような答えしか出てきません。

ですから、ほかの人とは違う自分ならではの考え方ができるようになりたければ、人とは違う思考の材料を脳の中にストックすることです。幅広い勉強を通じて、さまざまな知識を頭にインプットすると、ほかの人とは違うあなた独自の「思考軸」が持てるようになるでしょう。

思考軸とは、その人ならではの物事の「見方」のようなものです。物事の見方は人によって異なるので、「正しい思考軸」というものはありません。それぞれの人が、さまざまな傾きの思考軸を持っています。