「女」は一様に怖かった
【阿川】養老さんはどういう男の子だったんですか。腕白?
【養老】いや、そうでもない。
【阿川】素直な子?
【養老】そうですね。強情を張るとか強い子じゃなかったですね。非常におとなしい子だった。
【阿川】お母さまに怒られた思い出は……。
【養老】おふくろは怒んなかった。怒るほど、子どもを見てないんですよ。
【阿川】たまに子どもを見るお父さんみたいな感じ?
【養老】そうそうそう。
【阿川】お母さまに対する気持はどうだったんでしょうね。もっと甘えたいとか。
【養老】それは絶対あったと思う。しょっちゅう熱出して病気をしてたのは、たぶんそれですよ。
【阿川】病気になると、お母さまが診てくれるからね。
【養老】そうそう。
【阿川】お母さまからはじまった女性観はうるさいっていうのと、怖いってことですか。
【養老】やっぱり、女、怖かったな。一様に怖かった。
【阿川】そうお?
【養老】そう言っても、みんな必ずニコニコして「私は怖くないでしょ?」って言うんだ。それが怖いんだって……(笑)。まったく意識してないんですよね。
身近な異性と同じタイプを好きになる?
【阿川】アハハハハ。何が怖いんですか。
【養老】二人でいるっていうのが気詰まりなんですよ。どんな人でも。
【阿川】え~、嬉しくないのぉ(笑)。
【養老】そこらへんが微妙だね。要するに、そういう状況が怖いんです。
【阿川】でも、養老さんは黙ってタバコでも吸ってればいいんじゃないですか。何かしゃべらなきゃいけないとか考えなければ、相手のほうが気を遣ってしゃべってくれたりするから。
【養老】そこがわからないの、若い頃は。
【阿川】ほとんど女性に囲まれて生きてきたことが、養老さんの女性観とか男女の性の違いの解釈に影響してますか。
【養老】そりゃ、してますよ。
【阿川】うちの兄や弟の例で察するに、男はおしなべて、身近な女性と逆のタイプを理想とする傾向があるような気がするんですけど。
【養老】僕もそうです。でも、意識してない部分で、身近な人と似た人を好きになる。これはもうわかってるんですよ、心理的に。

