妻は「世間の常識」の代表

【阿川】養老さんは奥さまと結婚なさって、何か変わりましたか。

養老孟司、阿川佐和子『男女の壁』(実業之日本社)
養老孟司、阿川佐和子『男女の壁』(実業之日本社)

【養老】女房はきちんとしてるんで、もう僕の教育になってますでしょう(笑)。僕、いろんなことを考えて書いたりするけど、そういうときに女房に相談してもしょうがない。だけど、女房を見てると、世間の人ってこうだなってわかる。非常に常識的な、世論調査みたいな人だから(笑)。

【阿川】奥さまが世間代表(笑)。どういうところが?

【養老】何してもちゃんとしてる。お茶をやってるから、社会的なつきあいの能力もあるし。

【阿川】私、今回、はじめて奥さまにお会いしたのに、まったく壁を感じなくてスーッと溶け込めちゃったのが不思議で。

【養老】そういうつきあい方ができる人なんですね。僕は性格が偏ってますから、考えることも偏っちゃう。だから、女房みたいな人がいないとね。そこからあまり遠くに行くとマズイなという判断材料として。

【阿川】失敗したこと、ありますか。

【養老】けっこうありますよ(笑)。

【阿川】世間とではなくて、奥さまとのことで「ああ、女房はこう感じてたのか。そうは思わなかった」とかいうことは?

【養老】僕のいちばん悪い癖は、あらかじめものを考えること。でも、女房のことなんか考えたって意味がないって何となくわかってきたから、もう考えない。

【阿川】そんなきっぱりと……。

【養老】まあ、さんざん懲りたからね。結婚ってある程度大人じゃないとダメですね。

【阿川】経験者は語る(笑)。

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