インド人の賃金は、アメリカ人の15%

全通話時間に占める国際電話の割合、世界人口に占める長期的な海外移住者の割合、OECD諸国で大学の全入学者に占める外国人の割合、全観光客に占める外国人観光客の割合など、さまざまな項目において、国際化がどれだけ進んでいるのか、データを集めてみました。

たとえば「海外投資」についてはどうか。世界中で投資されている資本のうち、企業が自国以外で投資している割合はどれくらいか(世界の総固定資産形成に占める海外直接投資のフローの割合、2003~05年)を調べてみると、実は10%に満たないのです。

また最近よく、「インターネットはどうなの?」「フェイスブックは?」という質問をいただきます。フェイスブックの場合、理論的には世界中の人々と“友達”になれるのですが、実際には、国外の“友達”は、10~15%程度で、ほとんどが国内の“友達”なのです。

このようなデータから、私が下した結論は、「経済の観点で、国境が果たす役割は、依然として大きいものだ」というものです。現実の世界は、フラット化していない。グローバリゼーションは、道半ば、現在は「セミ・グローバリゼーション」と呼ぶべき状態にあって、それがこの先十数年続いていく――というものです。

私は大学で教授として研究活動に従事していますが、インド最大のソフトウエア会社である「タタ・コンサルタンシー」で、CEOの顧問のような仕事にも12年間関わっています。ですので、インドのIT業界は、理解しているつもりです。フリードマンは『フラット化する世界』で、インドのIT業界のことにも触れていますが、残念ながら、私が見ている“現実”とは全然違います。