官邸で出るお茶はどんな銘柄なのか
無事に新年を迎えることができ、ほっとしている。三が日は地元の長野へ帰省したものの、5日からはもう「平常運転」で官邸にいる。
官邸にある私の部屋では、来客を迎えることも珍しくない。以前からこの連載を読んでくれている方なら覚えているかもしれないが、かつて私は来客に「100グラム10万円のお茶」を出していた。これは超高級品の茶葉というわけではなく、香典返しでもらったお茶である。「10万円を支払って手に入れた」という意味ではあながちウソではない。
実際に買ったらそこまでの値段はしないのだろうが、「100グラム10万円」という情報を聞かされると、出された側は恐縮して「素晴らしいお茶ですね。こういった素晴らしい日本の文化をもっと広めていきたいですね」とか「こんなにおいしいお茶は生まれて初めて飲みました」と言う人が多く、人の感覚とは面白いものだと思った。
一方で人間は権威性にこうも弱いのかと思うと、単なる笑い話とは言い切れない気もする。「大学教授」や「政治家」という肩書がついていると、その人の言うことが正しい気もしてしまうが、先入観に惑わされず内容をフラットに判断することが必要だと思う。
今はさすがにそんなイタズラはせず、普通のお茶を出している。今私が出しているのは、伊藤園の「お〜いお茶」だ。190ミリリットル缶に入ったものをコップに入れてそのまま出しているのだが、お世辞なのか「私がこれまで飲んでいたお茶はなんだったのかと思います」と言う人もいる。おかしくなると同時に、伊藤園のすごさを思い知った。
先日も、感激していた来客に「これは伊藤園の『お〜いお茶』ですよ」とネタばらしをした。しかしその来客は「飯島さん、ウソは良くないですよ。私はいつもお〜いお茶を飲んでいますが、こんな味ではないですよ。お茶の香りと味わいが強くて、私がいつも飲んでいるものとは別モノですよ」と言ったのだ。実際に缶の容器を見せても「いや、絶対に違うはずです」と譲らなかったので、少し気になって調べてみたところ、驚きの事実が判明してしまった。
実は、「お〜いお茶」は缶とペットボトルで味を変えているらしいのだ。これはCBCテレビの「チャント!」やTBSテレビの「ジョブチューン」などでも紹介されており、ペットボトルよりも缶のほうが濃い味わいに調整されているらしい。
缶のお茶はお弁当などと一緒に短時間で飲み切るケースが多いため、食べ物の塩味をリセットしやすいよう濃厚な味わいにされており、逆にたくさんの量を飲むペットボトルはあっさりめに調整されているのだろう。
また、缶のほうには細かい茶葉が入っているという。ペットボトルは光の影響を受けやすいため、茶葉はろ過して取り除かれている。そのため、缶のほうがコップに入れるとやや濁った色に見えるようだ。
これまで漫然と飲んでいたお茶だったが、まさか同一ブランドでも細かく味わいを変えているとは、思いもよらなかった。驚くと同時に、ライバルがとても多いであろう緑茶市場の中で売り上げ首位をキープし続けるには、それだけの努力がいるのだと妙に納得した自分もいる。
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