冬季・短期、予算。異例ずくめの選挙戦
本ページを開いている読者の皆さんは、すでに総選挙の結果もご存じで、新しい内閣への期待が膨らんでいるところかもしれない。
しかし、私が執筆している今は、選挙戦がようやく中盤に差し掛かったところで、報道各社の情勢分析も出始めているものの、さすがに結果まではわからない。超短期決戦というスケジュールや、直前の新党結成など、今回の選挙は異例ずくめで予想が難しい。
1月解散〜2月投開票という日程は、現行憲法下で行われる衆院選では今回で3回目だという。過去2回は1955年の鳩山一郎内閣と90年の海部俊樹内閣での解散だ。36年前の海部内閣の解散のときは、私も政治の世界に入っていたが、真冬の選挙は非常に大変だったという記憶がある。
候補者の各陣営もいつもとは違う雰囲気なのだが、北海道、東北、北陸などの雪国では、選挙の実務を担当する自治体の職員たちが、過酷な作業を強いられた。まず、ポスター掲示板の設置が一苦労だ。積雪が多い地域は、除雪してから設置工事を行うため、春から秋に行われる選挙よりも時間がかかる。ようやく設置できても、雪が降れば掲示板が埋もれてしまう。下の段の候補者のポスターが見えなくなっては不公平なので、雪かきを続けなければならない。今回の選挙でも、日本有数の豪雪地帯である新潟県長岡市では掲示板設置数を減らす対応を余儀なくされたという。
投票日に有権者が安全に投票所に足を運ぶための準備も大変だ。午後8時までの投票終了時刻を繰り上げる地域も相次いだ。
雪国でなくても、2月は受験シーズンの真っただ中。学校の体育館などが投票所に使われるケースが多いが、教育現場との調整もいつもとは違う苦労があったと思う。若年層の政治参加を促すために、選挙権年齢を18歳に下げたのはいいが、受験を眼前に控えた若者たちが投票に来てくれるかは、とても心配だ。
しかも、今回の選挙は解散から投開票までわずか16日間の超短期決戦。投票所入場券や投票用紙の準備にも追われた各自治体の皆さんには本当に頭が下がる思いだ。解散は首相の専権事項であり、前もって準備をすることはできず、こうした選挙の準備の予算は計上できない。予算の確保にも苦労したことだろう。
真冬の選挙には、こうしたさまざまな課題があるが、最大の問題は、当初年度予算案を審議する予算委員会の時期に重なって、年度内の予算成立が不可能になる点である。予算が成立しないと、4月1日から国庫からの支出ができなくなるので、歴代首相はこの時期の解散を避けてきた。わかりやすいところでは、公務員の給与が支給できなくなる。そのほか最低限の社会保障費など国民の生活に影響がある部分について暫定予算を組んで対応することになる。
それを高市早苗首相はあえて解散に踏み切った。選挙中は野党から「解散の大義」について批判を受けたが、それでも「高市早苗が内閣総理大臣でよいのか」という審判を受けることを選んだ。
私はその決断を尊重して、結果が出るのを待っているところだ。そして、高市首相が内政外交に思い切って取り組める形になることを期待している。
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