薄毛自虐に部下が密かに思っていること
「一言で言うと、面倒くさいです。ああいうことを言ってくる上司って」
そう淡々と言うのは20代の女性Aさん。短大の教え子で、都内のホテル関連会社に勤務して5年目になります。
上司というのは、40代後半の男性B課長。明るい人ですが、何かにつけて自身の「薄毛」をネタにしてくるそうです。ホテルのアメニティに関連してシャンプーの話題が出れば、「ほら、オレはシャンプー使わなくていいから分からないんだよね」。社内イベントの後、「B課長と、C課長って同期だったんですね」と聞いただけなのに、「Cさんは髪ふさふさだから、同期に見えなかった?」といった具合だそうです。
私は本業の傍ら大学や専門学校で指導をしており、学生たちとの関わりは30年近くになります。ホテルやウエディングをはじめ、私が専門にしているホスピタリティ業界に進む学生が多いこともあって、卒業生と食事をする機会も多いです。そんな時、「上司の発言」は盛り上がるテーマであり、日々、Z世代(1995年〜2010年頃生まれ)の学生と接している私にとっても気づきのある話題です。
B課長のような薄毛を自虐ネタにする上司は昭和、平成の頃もいましたが、社会人になった教え子たちの話を聞いていると今も一定数いることが分かります。
ただ、昭和、平成と大きく違うのは、部下側の反応です。
おそらく現在の40代以上が若手だった頃、B課長のような上司がいたら、特に女性社員は「そんなことないですよ」「全然気にならないです」などと笑顔で一生懸命フォローしていたのではないでしょうか。
「承認欲求」は見抜かれている
一方で今の若手社員、特にZ世代は、適当に流すか曖昧に笑うなどして「スルー」します。Z世代の言葉を借りれば、そんな上司は「面倒くさいし、あきれる」存在でしかない。怒る対象ですらないそうです。
なぜZ世代は薄毛自虐に冷ややかなのか。
それは自虐の根底にある「承認欲求」を見抜いているからです。
まず、わざわざ薄毛ネタを持ち出し、部下の反応を見ることで、「(薄毛だけれど)自分はまだイケてるはず」「(薄毛だけれど)他の薄毛の人とは違う」と確認したい、伝えたい。そうやって承認欲求を満たしたいという気持ちが「面倒くさい」というわけです。
さらに部下に答えさせるという「アナログな手段」で人を巻き込んでまで、自身の承認欲求を満たそうとしていることにもうんざりするのです。Z世代が承認欲求を満たすのは主にSNSであり、自分自身で完結させているからです。
また、こういう会話が行われるのが職場であることも、嫌悪される大きな理由です。
Z世代にとって会社はあくまでも「仕事する場」。そんな場所で外見や若さに固執する上司は「仕事とは関係ないことに気を取られている人」となります。
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