「やる」以外の選択肢はない

・コンテンツの多様化とブランド価値の強化

飯田一史
飯田一史『この時代に本を売るにはどうすればいいのか』(星海社新書)

テキストだけでなく、動画や音声、ユーザーとの双方向のコンテンツを積極的に展開する。質を守りつつ、時代に合わせ、ビジュアルも使ったストーリーテリング手法を追求する。人々は「情報」だけでなく発信者「個人」のキャラクター、感情を込みで求めている。「人」軸で惹きつけることを意識する。

・ファーストパーティデータ(自社が自社サイトやアプリ、会員登録フォームなどを通じて「直接」集めた顧客の属性情報・行動履歴・購買履歴などの一次データ)を活用した広告・マーケティング

自社で取得したデータを基盤とした広告・マーケティングモデルをつくる。

・継続的な実験とイノベーション文化の醸成

小規模な実験(A/Bテストや新規フォーマットの導入)を日常的に行い、現場主導のイノベーションを促す。デジタル人材の育成・獲得と、組織変革を並行して進める。

すべてやるのはムリにしても、今ではAIなどを使えば個人レベルでも簡単にチャレンジできる部分が多少なりともある。新聞や多くの雑誌はデジタルへの本格シフト待ったなしだ。また、書籍の出版社でも、紙の本を知ってもらい書店で売っていく(本屋に人を送客する)ためにも「ソーシャルメディアで日々発信してます」で終わりにせず、ファネルを意識し、デジタルを活用した取り組みが必要だ。

NYTでさえ、本格的に動き始めてから今のかたちに至るまでに十数年かかっている。すぐに結果は出ない。失敗はつきものだ。実現させるには組織体制に根本的にメスを入れる必要もあり、各所で反発が起こることも避けられない。しかし、やるしかない。

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