物価高が進む中、野菜の値段はこれからどうなるのか。車中泊で全国各地の農家を取材している農業ライターの鈴木雄人さんは「気候変動の影響で野菜を作れる場所と作れる時期が狭くなってきている。さらに燃料費や人件費の値上がりなどで、生産コストが上がっていて価格を上げざるを得ない」という――。
「キャベツ1玉500円ショック」が起きた背景
「キャベツ1玉500円」。このショッキングな値札は、単なる未来予測ではない。2025年1月頃、天候不順による深刻な品不足が重なり、実際に多くのスーパーマーケットの店頭でキャベツが500円を超える価格で並んだことは、多くの人の記憶に新しいはずだ。
家計の味方であるはずの野菜が、高級品のような価格で鎮座していた。これら青果物の価格は市場の原理に基づき、「需要と供給」のバランスで決まる。2025年1月の高騰は、まさにこの供給が途絶えかけた結果だ。
その直接的な引き金は、複合的な天候不順にある。まず、11月頃に群馬産から愛知・千葉産へと切り替わる「産地の端境期」でリレーが途切れ、供給が不安定になった。さらに、夏の猛暑で根の張りが悪くなったところに、雨不足と低温が追い打ちをかけた。全国の産地で生育が遅れ、全体として小玉となった。結果として、市場への「出荷数」そのものが激減し、価格が高騰したのだ。
だが、私たちが「あり得ない」「一時的なものだ」と感じるこの価格は、日本だけの異常事態なのだろうか。


