日本の農業人口はこの10年で4割減り、平均年齢は67歳を超えた。農業は大丈夫なのだろうか。車中泊で全国各地の農家を取材している農業ライターの鈴木雄人さんは「人口減・高齢化が進んでも生産は崩れていない。むしろ今、農業は“人が減ったからこそ”静かに進化を遂げている」という――。
従事者減少の裏で起きている「農業の大変革」
日本の農業を支えてきた「人」の減少スピードは、待ったなしの状況にある。農林水産省が発表した「2025年農林業センサス(概数値)」によれば、農業を主業とする「基幹的農業従事者」は以下の通り激減している。
2015年:175万人
2020年:136万人
2025年:102万人
2020年:136万人
2025年:102万人
わずか10年で70万人以上、地方都市が丸ごと一つ消滅する規模の人口が現場から消えた。それでもなお、2025年時点の102万人の内、65歳以上は71万人にも及ぶ。平均年齢は67.6歳。2015年の65歳以上の割合は65%であったのに対し、2025年は69%とむしろ増加傾向にある。100万人を割り込むのは、もはや時間の問題である。
一方で、農業の「形」は確実に変化している。個人農家が激減するなか、法人経営体は5年前から約8%増加。この10年で、法人が耕作する面積のシェアは全農地の約1/3から1/2へと急拡大している。
ここで一つの疑問が生じる。従事者が減ったのなら、日本の食料生産も壊滅的な打撃を受けているのではないか。しかし、統計を見てみると、そこには「機械化による維持」と「手仕事の喪失」という二極化が浮かび上がる。
農林水産省から発表されている作物統計によると、野菜全体では、2015年の生産量1,166万トンに対し、直近でも1,114万トンと、減少幅はわずか4%にとどまっている。たまねぎ(+4%)やキャベツ(▲4%)のように、大規模化と機械化が進み、加工・業務用需要にシフトした品目は、人が減っても生産量を維持、あるいは増産さえしているのだ。
しかし、その「維持」の裏側で、機械化が難しい品目は大きく減少している。


