価格高騰が避けられない品目

大きく生産量を落としているのは、次のような品目だ。

だいこん:▲20%
1本1〜2kgという重量を土中から「引き抜く」動作は、腰への負担が極めて重い。さらに、だいこん特有の「洗浄・磨き」という調整工程には、洗浄設備や膨大な手作業が必要となる。加工用としての需要はあっても、この身体的負荷と設備投資の壁が、高齢化した個人農家のリタイアを加速させている。

ほうれんそう:▲19%
葉が柔らかく傷みやすいほうれんそうは、機械での一斉収穫が難しい。さらに深刻なのが、収穫後の「調整」という手作業だ。黄色い葉を一枚ずつ取り除き、根元を揃え、傷がないかを確認する。袋詰め機こそ普及しているものの、その前段階にある「人の目による選別」と「指先での調整」は未だに自動化が難しく、労働時間の大半を奪われる。

果実全体:▲21%
果樹園の多くは、大型機械が入れない中山間地の傾斜地にある。さらに、果樹栽培は「剪定」から「摘果」「収穫」に至るまで、脚立に登っての作業が中心だ。高齢の農家にとって、足場の悪い斜面での高所作業は重労働となる。また、長年の経験に基づく熟練の技術が必要な点も簡単に参入できない要因ともいえる。

リンゴを収穫する男
写真=iStock.com/okugawa
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平地の法人が大型機械で回せる品目は数字を維持できるが、中山間地で培われてきた「人の手」を要する品目は、減少傾向にある。数字上では全体で「横ばい」とも見て取れるが、細かく見てみると二極化が進んでいるといえる。

効率化が難しいエリアの“強み”

実際、岩手県の中山間地を抱える「JAいわて花巻」の野菜部会員数は、2016年の1506組から2025年には961組へと、3分の1以上が姿を消した。当地域の長ネギにおいては、全盛期には約80haあった作付面積は、現在約30haまで縮小している。