老眼になると近くのものが見えづらくなり、本を読むのも、店のメニューを見るのも一苦労。何か治療の手立てはないのか。眼科専門医の栗原大智さんは「老眼を和らげる点眼薬や手術にはデメリットもあるので慎重に。普段から老眼鏡を使ったり、セルフケアを試してみるのもいい」という――。

※本稿は、栗原大智(ドクターK@眼科医パパ)『眼科専門医が教える最新知識 スマホ時代の「眼」のメンテナンス』(高橋書店)の一部を再編集したものです。

眼鏡をはずしてスマホを見る男性
写真=iStock.com/takasuu
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そもそも老眼とはどういうものか

「最近、近くが見えにくくなった」と感じる方もいると思います。

実は人によって老眼の始まる年齢は違います。35歳で老眼を感じる方もいれば、45歳で老眼を感じ始める方もいます。それはピントが合いやすい位置(近視か正視、遠視)とピントを調節する力(調節力)が大きく影響するためです。

正視や遠視は、遠くが見えやすいため一般的に「目が良い」といわれる状態です。しかし遠視の場合はピントを調節する力がないと見えにくいため、特に手元を見る際には、ピント調節力を大きく使う必要があります。このピント調節力は年齢とともに低下するため、目が良い方は手元が見えにくくなります。この状態を老眼と呼んでいます。

つまり、目が良い方はピント調節力低下の影響を受けやすく、手元が見えにくいと感じやすいのです。一方、近視は一般的に「目が悪い」といわれる状態です。ピント調節をしても遠くが見えにくいため、メガネやコンタクトレンズが必要になります。しかし、近視の方はメガネなどを外せば近くにピントが合いやすいため、老眼の症状を感じにくいとされています。

スマホがあなたの老眼を早めている

最近、若い方の老眼が増えています。これまでは老眼が始まるのは、おおむね40歳前後とされていましたが、最近では10代〜30代の若い世代でも、老眼の症状が出ることがあります。

特に、スマホは文字が小さく、距離が近くなりがちです。スマホを長時間見ていることで、老眼のような症状を訴える若い方が増えています。これを僕たちは「スマホ老眼」と呼んでいます。長時間スマホを見続けたことで、目の筋肉が疲れてピント調節力が低下してしまう状態です。

スマホ老眼の代表的な症状は、次のようなものです。

・スマホを見た後、遠くの物がぼやけて見える
・スマホの文字を見るとき、少し離すと見やすくなる
・夕方になると、スマホの画面がぼやける

これらの症状があれば、もしかしたらあなたもスマホ老眼かもしれません。