白内障には、高齢者の病気というイメージがある。しかし、眼科専門医の栗原大智さんは「じつは50代の約4割が白内障。もしも見えづらいなどの症状があれば、早めに眼科専門医に相談して治療を開始してほしい」という――。

※本稿は、栗原大智(ドクターK@眼科医パパ)『眼科専門医が教える最新知識 スマホ時代の「眼」のメンテナンス』(高橋書店)の一部を再編集したものです。

頭痛に悩まされるビジネスマン
写真=iStock.com/Yuto photographer
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なかなか自覚しづらい「白内障」

白内障は、目の中にある水晶体が濁ってしまう病気です。主な原因は加齢ですが、アトピー性皮膚炎や糖尿病、ステロイドの服用、外傷、紫外線などによっても起こります。

白内障になると、個人差はありますが次のような症状が出てきます。

・光をまぶしく感じる
・視界がぼやける、かすむ
・物が見えにくい
・物が二重、三重に見える
・白い壁が黄ばんで見える
・暗い場所で物が見えにくい

ただし、白内障の多くは進行がゆっくりであるため、なかなか自覚症状が出にくい病気です。「運転免許の更新ができなかった」「メガネ店で検査をしたら、眼科に行くようにすすめられた」という理由で眼科を受診して初めて、白内障が見つかる方も少なくありません。

目薬をしても進行すれば手術になる

眼科を受診した際に、もし白内障があれば、進行を抑える目的で目薬による治療を行います。しかし、目薬を使っていても、残念ながら白内障は進行してしまいます。また、濁った水晶体を目薬で元に戻せるわけではないので、状態に応じて手術をすることになります。

手術では、濁ってしまった水晶体を取り除き、代わりに人工の眼内レンズを入れます。この眼内レンズは開発が盛んで、さまざまな種類のものが出ています。目の状態によってより適切な眼内レンズを選択するのが良いでしょう。

それではここからは白内障についてもう少し深掘りして解説していきます。実は、80歳以上の方は全員が白内障です。日本眼科学会のHPでも、「80代では100%の方が白内障を発症しています」と記載されています。最初にこのことを聞いたときは、100%という数字に驚きましたが、たしかに診察でも「80歳以上で白内障がない方」に出会ったことがありません。