2025年9月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト3をお送りします。マネー部門の第2位は――。
▼第1位 「地べた這って働いても借金250万円」子供3人の看護師・介護士夫婦の家計を真っ赤にしたファミレスのメニュー
▼第2位 実家に残る未婚、無職の妹(56)をどうすればいいのか…実兄が虎の子の2000万円を使った「実家じまい」の方法
▼第3位 「本当のお金持ち」は見た目で判断できない…億り人になってわかった富裕層が着ているブランド、乗っている車
増加する中年の未婚者と実家暮らし
近年、中高年期に差し掛かっても独身で実家に暮らし続ける人は珍しくありません。内閣府「男女共同参画局」の公表データによると、未婚率は男女ともに上昇を続けています。50歳時点での未婚割合は、1985年には男性3.7%・女性4.3%にすぎませんでしたが、2020年には男性25.9%・女性16.4%へと激増。実に、男性は約7倍、女性は約3.8倍に増えているのです。
それに伴い、親と同居する中年未婚者も増加し、1995年から2015年の20年間で全体として3.02倍(男性2.86倍、女性3.33倍)に達しました。しかも、親と同居する世帯のうち、5割以上で「親が生計維持の中心者」となっており、親が亡くなった後の生活不安が顕在化しやすい構造にあります。
親の介護や生活の安心感から実家暮らしを選ぶ一方で、その安心が失われた瞬間に生活基盤を喪失するリスクは高いのです。実際の相談でも、「住まい」「生活費」「金銭管理」「孤立」といった点が大きな懸念として挙げられています。
今回筆者にご相談いただいたケースは、きょうだい間で負担をどう分かち合うか、さらには甥や姪といった次世代への影響も避けられません。ご紹介するAさんとBさんの事例は、こうした典型的な不安を色濃く映し出したものといえる事案です。
還暦を迎えて浮上した長男の不安
「自分が先に亡くなったあと、妹のことで子どもたちに迷惑をかけたくない」
還暦を迎えたAさん(60歳・一部上場企業勤務)は、長年胸に抱えてきた不安にようやく本格的に向き合うことにしました。
きっかけは、継続雇用という形ではあるものの、一旦定年退職を迎えたことでした。その不安とは、4歳年下の妹Bさん(56歳)のことです。Bさんは持病の影響で体調に波があり、就労経験は限定的。現在は生まれ育った実家で一人暮らしをしています。きょうだい仲は決して悪くありませんが、Aさんが万が一の時、Bさんの面倒を見るのは自ずとAさんの妻や子どもたち(大学生と高校生)になります。
Aさんの実家はかつて地元で商売を営み、社員数人を抱えた商店でした。Bさんも正社員として厚生年金に加入し、持病と向き合いながら体調の良い時期には店舗業務を担当。時には実家の家事を一手に引き受けるなど、両親にとって頼りになる存在でした。給与を受け取りながら、家族の一員として重要な役割を果たしていたのです。

