2025年9月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト3をお送りします。ビジネス部門の第1位は――。
▼第1位 これで北陸新幹線が完成する…鉄道ジャーナリストが提案「米原ルート」でも「京都ルート」でもない"ウルトラC"
▼第2位 日本人にまったく馴染みがなかったのに…デパ地下で1日300キロもバカ売れして国民的惣菜になった「珍味」とは
▼第3位 大阪万博を走る「中国製EVバス」でトラブル続出…書類だけのシンプル審査で「補助金天国」というEVバス業界の闇
いつまでたっても完成しない北陸新幹線
北陸新幹線は東京都を起点とし、大阪市を終点とする整備新幹線で、現在は群馬県の高崎駅と福井県の敦賀駅との間の470.6kmが開業済みだ。
残る区間のうち、東京駅と高崎駅との間の105.0kmは東京駅と大宮駅との間で東北新幹線、大宮駅と高崎駅との間で上越新幹線と、どちらもJR東日本の新幹線に列車が乗り入れて新幹線としての体裁を整えている。
一方で敦賀駅と大阪市との間は未開業だ。いまのところまだ着工されていないうえ、どこを通るかも正式には決定していない。
敦賀駅―大阪市間の動向はここのところ連日のように話題となっている。元来この区間は小浜・京都ルートと言って福井県の小浜市と京都府の京都市とを経由する案にほぼ決まりかけていた。
ところが、敦賀駅―大阪市間のルートが2025(令和7)年7月20日の参議院選挙で争点の一つとなり、滋賀県の米原市にある東海道新幹線の米原駅を通る米原ルートを推す日本維新の会の新実影平氏(京都選挙区)や同じく日本維新の会の柴田巧氏(比例代表)らが当選する。両議員は早速米原ルートの検討を呼びかけ、この結果ルート再考の機運が高まったのだ。
さらに、小浜・京都ルート自体も建設工事による地下水への影響、トンネルを掘削した際に発生する残土の処理をめぐって京都府などから反対の声が上げられ、見直しが必要な状況に置かれている。
米原ルートが現実的ではない3つの理由
第一候補の小浜・京都ルートの建設に反対というのであれば、次案の米原ルートを選択するというのが自然な流れだ。けれども、米原ルートは現状では採用される望みは薄い。北陸新幹線敦賀駅―大阪市間の開業後に営業を担当するJR西日本、それから沿線の自治体である滋賀県が反対の意思を表明しているからだ。
整備新幹線である北陸新幹線は国が進めるプロジェクトであるからJR西日本や滋賀県の意思など関係なく進めてしまえばよい――。一部にこうした考えも見受けられるが、実際には建設の強行は認められないのだ。
2000(平成12)年12月18日付、2004(平成16)年12月16日付のいずれも政府と与党との申し合わせで、整備新幹線を新規に着工する際には「JRの同意、並行在来線の経営分離についての沿線地方公共団体の同意の取付等基本条件が整えられていることを確認した上で行う」とあり、JR西日本も滋賀県も認めていない状況では米原ルートは「基本条件が整えられている」とはとても言えない。
理由① JR西日本が消極的
JR西日本が米原ルートに消極的な理由はいくつか推察される。米原駅から京都駅を経由して新大阪駅までと北陸新幹線のなかでも多くの利用を見込める区間の営業ができないと考えられるからだ。

