ふるさと納税のポイント還元が9月末で終了する。税理士でマネージャーナリストの板倉京さんは「9月末までがポイント還元の期限だが、決済方法などによっては間に合わない可能性もあるので注意が必要だ」という――。
ふるさと納税
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

制度史上最大の転換点がやってくる

「今年のふるさと納税、今が最後のおトクチャンス⁉」

いま各ポータルサイトは異様な熱気に包まれています。理由は明確です。10月からふるさと納税に対する「ポイント還元」が全面禁止されるのです。

10月以降のふるさと納税はもうおトクではない――。そう感じる人も多いでしょう。これまで各ポータルサイトで寄附額の2~3割、多い時にはそれ以上のポイントを受け取ってきた人にとっては、まさに9月は最後の“おトク祭り”です。X(旧Twitter)上でも「駆け込み寄附で冷凍庫がパンクする」「最後のキャンペーンに全力投球」などの声が飛び交っています。

しかし、この変更は単なる「改悪」ではありません。ふるさと納税が本来持つ「地域を応援する寄附制度」という原点に立ち返らせる試みでもあるのです。本稿では、ポイント還元廃止の背景と、9月末までに取るべき行動、そして今後のふるさと納税との賢い向き合い方について考えてみたいと思います。

2015年の制度改正で一気に利用者が増加

ふるさと納税は2008年にスタートしました。当初は純粋な寄附制度であり、返礼品も一部自治体が特産品を送る程度。利用者も少数派でした。状況が大きく変わったのは2011年の東日本大震災です。

被災地支援として注目を集め、その後ポータルサイト「ふるさとチョイス」や「楽天ふるさと納税」などが次々と誕生。さらに2015年の制度改正で、控除上限の拡大やワンストップ特例制度が導入され、利用者が一気に増加しました。

ここで登場したのが「ポイント還元」です。

楽天市場が運営する楽天ふるさと納税では、寄附額に応じて楽天ポイントが付与されました。「お買い物マラソン」や「楽天スーパーセール」といった大規模なキャンペーンを利用すれば、ポイント還元率は跳ね上がりました。ふるなび、さとふるなども同様に、Amazonギフト券やPayPay残高に交換できる独自のポイントで還元を実施し、キャンペーン期間中は実質還元率が20~30%を超えることもありました。