なぜ“生きづらさ”を感じるのか。心理学者の根本橘夫さんは「子どもの頃から完璧であることを求められて、大人になっても特別な人間であろうと苦しむ人は少なくない。解放されるためには、『◯◯してはならない』『◯◯せよ』といった無意識の呪縛を自覚することが大切だ」という――。

※本稿は、根本橘夫『新版「自分には価値がない」の心理学』(朝日新書)の一部を再編集したものです。

バックパックを背負った男子生徒が教室に入る
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「あなたは特別な子」と言い聞かせられて育った人

他の人と同じように行動できない。あるいは、他の人と同じでは自分に満足できない。こうした心理の背後に「自分は特別でなければならない」という意識がある。なかには直接に特別であることを求められて育てられるケースもある。

「親が医者で、母親は家柄にプライドを持っていたため、小さいときから“あなたは特別な家の娘で長女なのだから、他の子とは違うのよ。しっかり勉強して、医者になって家を継いでね”と言われていた。」

子どもに「特別でなければならない」という意識を持たせる親は、社会的地位へのこだわりが強い。このために、小さいうちから越境入学させたり、私立学校に通わせたりすることがある。子どもは地域の子どもたちから切り離されることになり、学校での限定的な交友関係しか体験できない。

このために、集団のなかで楽しむ能力が発達せず孤立しがちになり、自分は他の子と違って「特別だ」と感じる。平等であることを楽しむのではなく、孤立した特別な存在であることで自分を誇示しようとする。

特別を求める親は子どもに高い達成基準を課す。並の成績では満足せず、より高みを求める。これが子どもに定着すると、完璧主義的傾向になる。なんでも、いつでも、完璧を求め、完璧でないと失敗した気持ちになる。