子どもの自己肯定感を高めるには、どうすればいいのか。心理学者の根本橘夫さんは「過保護な親のもとで育つと、子どもは無力感に苛まれやすくなる。一見優しい言葉にも『お前は無力だ』というメッセージが暗に込められており、成長の機会が奪われるからだ」という――。
※本稿は、根本橘夫『新版「自分には価値がない」の心理学』(朝日新書)の一部を再編集したものです。
「親に大事にされた」から自信がない
無価値感や自信のなさに悩む人の中には、「自分は過保護とも思えるほど親から大事にされていたのに」と言う人が含まれる。大方の見方に反して、過保護は自己価値感よりも無価値感をもたらしやすいのである。
過保護・過干渉はセットで述べられることが多く、両者が子どもに与える影響には共通する部分が多い。しかし、異なる部分もある。典型化して言えば、過保護は「お前は無力だ」という暗黙のメッセージを送り、過干渉は「お前のままでは駄目だ」というメッセージを送る。このために、過保護は子どもを無力化することで無価値感をもたらし、過干渉は子どもの自我を奪い取ることで無価値感をもたらす。
健全な心の発達とは、子どもが生得的に持っている健康に成長していく力(内発的成長力)により達成される。だから、内発的成長力が発現する環境を与えてあげれば、子どもは自らのびのびと成長していく。この子どもの内発的成長力を信頼できない親が過保護・過干渉になるのである。

