美味しいものはいくら食べても体に影響はないのか。日本薬史学会会長で薬学博士の船山信次さんは、「酒が飲める人と飲めない人がいるように、美味しいものでも、その人の体質や食べ方によっては『体に毒』となるので、注意が必要だ」という――。

※本稿は、船山信次『日本人はいかにして毒と薬を食べてきたのか?』(星海社新書)の一部を再編集したものです。

お腹に違和感を感じ手を当てている男性
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酒が毒になる人、ならない人

ある人にとっては何でもないのに、ある体質の人にとっては毒となる代表的なものにお酒がある。お酒を受け付けない人を下戸ということがあるが、下戸にとってはお酒、もっと正確に言えばエチルアルコール(アルコール)は毒でしかない。

アルコールは私たちの体内に入ると代謝されてアセトアルデヒドに変化する。この化合物には若干の毒性があり、頭が痛くなったり、気持ち悪くなったりするのはこの化合物の仕業である。

とくに下戸でない人でも、大量に飲酒した場合にこれらの症状が現れるのは、代謝しきれなかったアセトアルデヒドのなせる作用である。アセトアルデヒドはさらに代謝されて無害な酢酸となるものの、いわゆる下戸の人はアセトアルデヒドを酢酸に代謝する酵素が欠損しているかうまく働いていないのである。

アレルギーの原因となるとされる食材

一方、各種の食べ物に対するアレルギーというものもあって、場合によってはアナフィラキシーなどの深刻な状況に陥ることもあるので注意が必要である。

アレルギーの原因になるとされてリストアップされている食べ物は現在、合計で28種類ある。そのうち、食品表示基準で定められ、表示が義務付けされているのは、えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)の8品目であり「特定原材料」とされている。さらに、通知で表示が推奨されているものには、アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンの20品目があり、これらは「特定原材料に準ずるもの」とされている。