他人からの親切心や愛情を感じるほど、人間関係を拒絶してしまう人たちがいる。精神科医の高橋和巳さんは「『愛着障害』を抱えている人たちのなかでも、特に重度のレベル3と呼ばれる段階の人達は愛情や親切心を拒否する傾向にある。彼らは幼児期の虐待経験から、愛情を期待することを恐れたり、過剰に愛想良く振る舞ってしまう」という――。

※本稿は、高橋和巳『大人の愛着障害』(ちくま新書)の一部を再編集したものです。

両手で顔を覆って悲しむ女性
写真=iStock.com/Kayoko Hayashi
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虐待によって引き起こされる“レベル3”の愛着障害

愛着障害を考えるにあたって、被虐待者の愛着障害〈レベル3〉を知ることはとても重要です。その理由は、二つ。

第一に、もっとも重症の愛着障害であるため、障害の内容とその苦しみが典型的な形で表現されるからです。

第二に、そこでみられる愛着障害には、より軽症の愛着障害である〈レベル2〉や〈レベル1〉にみられる全ての要素が含まれているからです。

例えば、被虐待者の愛着障害〈レベル3〉でAという要素が100%の強度で表現されているとすれば、軽い愛着障害〈レベル1〉では10%の強度で表現されているようなことです。100%で表現されている障害の内容を理解していれば、10%に気付けますが、知らなければ「10%」を見逃してしまうでしょう。

重い愛着障害を理解することで、それがどういうものか、なぜそうなったのか、どんな苦しみがあるのか、がはっきりと分かります。これをよく理解していないと、愛着障害の全体が見えなくなります。

以上のような理由で愛着障害〈レベル3〉を知ることは、理論的にも、実際の理解を進める上でも重要なのです。