「熱意、没頭、活力」が生産性のキモ
いま、職場のメンタルヘルス対策が行き詰まりを見せるようになっています。大企業を中心に行われてきた従来型のメンタルヘルス対策はストレスを減らし心が不調になった人を支えるという、いわばセーフティネットの位置づけにありました。
もちろんセーフティネットの存在は非常に大切です。ただ、一方で雇用形態や働き方が大きく変化し、自律的で生産性の高い働き方が求められるようになり、メンタルヘルス対策にもより積極的な役割が要求されるようになってきました。しかし、そうした要請には十分に応えられていない現状があるのです。
メンタルヘルスの状態は個人の行動やパフォーマンス、ひいては生産性に大きな影響を与えることはさまざまな学術研究によって明らかにされています。しかし、意外にもそうした視点は企業経営では抜け落ちていました。
このような流れのなかで注目されるようになってきたのが「ワーク・エンゲイジメント」という概念です。提唱者であるユトレヒト大学のウィルマー・B・シャウフェリ教授は「仕事に誇りを持ち、仕事にエネルギーを注ぎ、仕事から活力を得て活き活きしている状態」と説明しています。すなわち熱意、没頭、活力という三要素が揃った状態です。