「老後資金に約2000万円が必要」。今年6月に出た金融庁の試算は大きな話題を集めた。ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏は「個別の家庭で必要な金額『X000万円』は、老後の期間や毎月の生活費によって異なる。簡単な算出方法があるので、早めに備えをしてほしい」という——。
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「老後に2000万円」はあくまで全国平均でしかない

今年6月、金融庁の有識者会議がまとめた報告書が大きな話題を集めました。報告書は家計調査年報を基に、全国平均の年金生活者の家計実態から毎月あたりの不足額を示し、夫婦で95歳まで生きるには「約2000万円の資産が必要」としました。

この報告書は金融審議会の総会を経て正式文書となるはずでしたが、麻生太郎金融相は「正式な報告書として受け取らない」と反発。結局、報告書は事実上の撤回となってしまいました。

この件が話題になったのは、多くの人が「え、2000万円も貯金がないとやっていけないのか」と受け止めたからでしょう。しかし2000万円はあくまで平均的な話にすぎません。

これは報告書をきちんと読んでいれば、すぐわかります。21ページの「2000万円」が出てきてすぐ下に、「この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる」という一文があります。

ただし、「老後に2000万円」はあくまで平均である、ということを理解したとしても、「自分はいくらくらい必要なのか」という疑問は残ります。今回は、「あなたにとっての老後の貯金必要額」を考えるヒントを紹介したいと思います。